世界のくらし

デンマークのくらし “エコビレッジ先進国で見つけた、持続可能なくらし”前編

“世界一幸福な国デンマーク”

「今あなたは幸せですか?」と質問されたら「はい!幸せです!」と堂々と答えることができますか?デンマークは、この質問に「幸せです!」と答えた人の数が世界で一番多い国。
 
※「国民総幸福GNH(Gross National Happiness)」で1位を獲得し、「世界一幸福な国」とも言われています。「GNH」とは、国民総生産「GNP」という経済至上主義の指標よりも、心の豊かさを表すほうが大事ではないかと提唱されている新しい指標。もとはブータンの国王が唱えたもので、「持続可能で公平な社会開発」「自然環境の保護」「有形、無形文化財の保護」「良い統治」という4つの主要な柱からなっています
 
ご存知の通り日本のGNPは、アメリカ、中国に次いで世界第3位。しかし、国民総幸福GNHは・・・なんと先進国最下位の90位です。
日本食に限らず世界中の美味しい物が食べられて、春夏秋冬うつくしい四季の変化が楽しめて、どこに行っても清潔で綺麗、面白い場も遊びもたくさんあるのに、それでも幸せだと感じる人が少ないんです。経済的に豊かであることと、心が豊かであることは完全にイコールではないんだと実感します。
日本人には馴染みの薄い“世界一幸福な国デンマーク”。今回の取材では、デンマークのエコビレッジに実際に足を運び話を聞くことで、持続可能な豊かな暮らしのヒントを探してきました。


“デンマークのエコビレッジ”

近年日本でも、田舎へ移住し暮らしたいというニーズが高まっています。例えば、日本の限界集落をエコビレッジとして再生できないか?日本なりの持続可能な新しい暮らし方が提案できるのではないか?そのヒントを、デンマークから探します。

エコビレッジとは、持続可能性を目標としたまちづくりのコンセプト、またはそのコミュニティのことを言います。「生活のための装備が十分に備わった住居があり、未来に向けて持続的である場所」と定義されています。聞き慣れない人も多いと思いますが、実は日本にも「エコビレッジ」は多数存在しています。

一方デンマークには幅広い性質を持った複数のエコビレッジがあり、今回は、その中でも特徴的な3つのエコビレッジを取材しました。

“徹底したエコロジー村「Munksgardムンクスゴー」”

1つ目は、コペンハーゲンから25キロのロスキレ市にあるムンクスゴーというエコビレッジ。


村の入り口にある案内板。これは村の全体像。



中央がコモン棟で、もともと農家の納屋だったものを改修。その周りに、5つのブロックがあります。
① 若者向け賃貸20戸、②ファミリー向け賃貸20戸、③シニア向け賃貸20戸、④分譲タイプ20戸、⑤コーポラティブハウス20戸 計100戸約250名の人が暮らしています。ブロック毎に年齢層で分かれているのは、普段の食事や生活は、似たような人々と一緒の方が気兼ねないという発想から。そして、皆が集まれるコモンハウスがあり、食事会、ミーティング、勉強会などはここに集まって行います。このような施設を活用することで、グループ内のコミュニケーションを取り合い、健康状態のチェックや困った事などをごく自然に解決していきます。


天井や壁は、ストローベールという藁を圧縮した断熱性に優れているもので作られています。


共有の電動自動車を4台程度所有。WEB上で予約する仕組みになっています。

“自然と共生できるエコビレッジ「Torupトーラップ」”

2つ目は、コペンハーゲンから電車で1時間半ほどのデュッセキレ駅にあるエコビレッジ「Torupトーラップ」。


戸建58戸、集合住宅14戸、シェアハウス2戸の計74世帯があります。

特徴的なのはこの多様な家。まるでジブリの世界に入りこんだかのようです。住民が思い思いに生活を楽しんでいて、多くの家を所有者自身が建設しているため、村全体は持続可能な建材や建物のショーケースの様相を呈しています。


各住戸にはサンルームがあり、サンルームで温まった空気を溜めておき、室内に熱風を入れて暖房代わりにしています。


ビレッジ内に幼稚園や小学校もあり、子どもたちは安心して遊べます。


近年では、新しい家族が増え、以前よりもコミュニティが他力本願になってきているそう。今後新たに敷地を売る予定はないそうですが、新しく建設中の家もありました。家のまわりに柵を設けていないので、隣の家との境目がしっかりとあるわけではなく、村自体がまるでこどもたちのひとつの遊び場になっていることが印象的でした。
取材・撮影:2015年
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