つくるくらし

東京都心+長野、背伸びしないデュアルライフ|my dot. life

住まいを選ぶとき、「3人家族なら2LDK、4人家族なら3LDK」など、広さの“相場”はどうしても気になってしまうもの。けれど暮らしで大切なものは人それぞれで、住まいにはもっといろいろな形があるはずです。
リビタが提案する「my dot. life」は、「便利な都心で街を活用しながらコンパクトに暮らす」+「余った資金で地方にもう一つ拠点を持つ」、そんな新しい住まい方の発想。当たり前と思われたことを軽やかに飛び越え、実践している人たちはなぜその暮らしを選び、何を感じているのでしょうか。
今回は、東京・港区と長野・蓼科(たてしな)のデュアルライフ(二拠点生活)をファミリーで実践する、Kさんにお話を聞きました。


■東京都心と長野・蓼科、コンパクトな賃貸住宅に暮らす

東京都内の企業で広報を務めるKさんは、夫と3歳の長男との3人家族。東京・港区と長野・蓼科に拠点を持ち、平日は都内で仕事、月1〜2回の週末や長い休みは蓼科で過ごすゆるやかなデュアルライフを10年ほど続けています。

デュアルライフとは、生活や仕事のベースを都会に置きながら、地方にもう一つ拠点を持って週末などに行き来しながら暮らす、というように2つの生活拠点を持った暮らし方のこと。移住のようにこれまでのライフスタイルや仕事を大きく変える必要がなく、長期的にタイプの異なる複数のエリアと関わりを持つことができるのが魅力です。とはいえ「家を2つ持つなんて、経済的に難しい」と感じる人も多いのではないでしょうか。

Kさん家族が東京と長野それぞれの拠点に選んだのは、コンパクトな賃貸住宅。蓼科のアパートはワンルームで家賃2万円と地方ならではのリーズナブルさで、デュアルライフがぐっと身近に感じられます。蓼科の家賃がある分、東京の家賃を少し抑えてトータルで予算内に収め、無理なく二拠点の暮らしを楽しんでいます。



「蓼科のアパートは、マウンテンバイクが趣味の夫が結婚前から道具置き場を兼ねて借りていた物件です。私も山で過ごすことが好きだったので一緒に出かけて、アウトドアを楽しむようになりました。18㎡の小さな家ですが、日中は外で遊んで、夜眠るだけなので十分なのです。

東京の家から蓼科の家まではドア・ツー・ドアで約3時間、交通費は片道5,000円ほど。土曜の朝に新宿発の特急あずさに乗ればお昼前に蓼科に着いて、午後から自転車でのトレイルライドやトレッキングに出かけます。冬はスノーボードにも行きますね。長男が歩けるようになってから家族みんなで遊ぶ機会が増えて、3歳になった今ではどれも一緒に出かけますよ」


地方のセカンドハウスというと古民家や別荘をイメージしますが、Kさんが選んだのは八ヶ岳を望む市街地の賃貸アパート。戸建てのように雪かきや建物のメンテナンスがいらず、賃貸だからこそ将来ライフスタイルや考え方が変わったときにも手放しやすいので気楽です。
 
「結婚、出産など節目ごとに『これからもこの部屋を借り続けた方がいいのか?』と夫婦で話し合ってきました。でもやっぱりここがあることで東京では得られないライフスタイルの広がりを感じるし、子どもにとってもいい環境だと思うから、しばらくはこの形を続けようと考えています。大家さんとも長い付き合いで、この物件を格安で売ってくださる話までいただいたのですが、10年後自分たちがどうなっているかは分からないし、今は賃貸のままがいいのかなと」
 
うらやましいのが、アパートのすぐ近くに温泉があること。おかげでアパートのユニットバスを使うことはなく、自転車のタイヤ置き場にしているそう(そのためガスは契約せず、光熱費も格安で済んでいるのだとか!)。あれもこれもと欲張らず、都心住まいだけでなく地方住まいでも、必要なものだけでコンパクトに暮らしてコストを抑え、無理のない生活を実現しています。
 
二拠点を行き来する暮らしを始めて10年近く。「『住む』だけとも『旅行』だけとも違う感覚です」とKさん。

「東京での暮らしよりは、やはり旅行には近いものの、とはいえ普通の旅行とは違って分からないことや初めて体験することが少ないから、ストレスがないのが良さですね。いつでも来られるから予定を詰め込む必要もなく、仕事で張り詰める時期などはアパートでのんびり過ごす日もあります。安らぎとエンターテインメント、両方がある感覚です」

■便利さを最優先に選んだ都心の住まい

そんなKさん夫妻の東京の住まいは、東京タワーから徒歩10分の「超・都心」。都内でも家賃が高めのエリアですが、一番重視したのは職場へのアクセスでした。
 
「夫は六本木まで徒歩で、私は丸の内まで自転車で通勤しています。以前も港区内の社宅で暮らしていて、特に子どもが小さいうちは、いろいろな施設や情報にすぐにアクセスできて、職住近接となる都心暮らしのメリットが大きいと痛感していました。間取りは2DK、広さ45㎡と少しコンパクトですが、広さや築年数はそこまで重要ではなかったですね。希望エリア内、かつ蓼科の家賃を差し引いた予算内で可能な広さと築年数の物件を選びました。」
 
夫婦ともにフルタイムで働き、仕事が終わったら交代で家の近所の保育園へお迎え。通勤時間が少ない分、家族で過ごす時間が長くとれるのは都心暮らしのメリットです。
 
「出産後、子どもと過ごす時間はもちろん楽しいですが、仕事面でもせっかく子どもを預かってもらった貴重な時間なのだから、楽しく濃く働きたい!とモチベーションが上がりました。大きな公園や皇居など、意外と緑が多い通勤経路を自転車で漕ぐ間も、ちょっとした有酸素運動を兼ねたリフレッシュ時間になっています。出産してからの方が生活のストレスは少ないですね」
 
 
 
「これだけは譲れない」という条件を絞り、予算内でコンパクトに暮らす選択。徒歩圏内には六本木ヒルズや芝公園もあり、都心ならではの街の楽しさが暮らしの一部になっています。アウトドアでガンガン遊ぶ蓼科同様、住まいの外部を取り込むことで、面積以上に豊かな暮らしを送っています。
 
「蓼科では車が必須ですが、都内に持ってくると駐車場代が月4万円ぐらいかかるんです。だから車は蓼科に置いて、東京から移動するときは特急電車で。ビールを飲みながらのんびり行ける旅行気分も楽しいんです。都内の移動手段はもっぱら自転車ですね。パッと動けるし、都心暮らしに自転車はすごく便利です」

■「移住よりデュアルライフ」を選んだ理由

蓼科を選んだきっかけは、夫の同僚が別荘を持っていて訪れる機会があったこと。この10年で少しずつ現地の友人も増え、コミュニティも生まれていると話します。
 
「これまでに蓼科への完全移住を考えたこともありました。でも私も夫も、今の仕事が好きだし、二人ともずっと東京で暮らしてきて、都会とかそういうことではなく、東京という街が好きなんですよね。
子どもの教育を考えても、地方より都会の方が選択肢が幅広いのも理由です。一方で、人為的な設計物が少ない自然環境でしか体験できないことも沢山ある。子どもにはこの暮らしを通じて東京と長野の違いを感じてほしいし、それぞれの良さがあることを分かってほしいと考えています。両方とも、必要な感覚だと思うから。だから、今のこの暮らしが、私たちにとっては“いいとこどり”のベストな選択だと思っています」



蓼科が位置する茅野市や隣接する富士見町は、行政のサポートが手厚いこともあり移住者や二拠点生活者が多いエリア。彼らと知り合う中で、「長野であっても東京の存在感を感じる」のだそう。
 
「移住や二拠点生活をして地方でビジネスを起こしたりお店を始める人は多いですが、彼らを見ていると一度都会で暮らした経験を踏まえて『それ以上におもしろいことを始めたい』という気概を持って取り組む人が多いなと感じます。」



もちろん「何か始めよう」という思いがなくても、地方で暮らしてみたい人にとって気軽にトライできるデュアルライフは魅力ある選択肢。とはいえ「やってみたい気持ちはあるけれど、どうしてもやる!というところまで至らない」と感じる人も多いはず。
 
「まずは試しに、同じ地域に繰り返し足を運んでみてはどうでしょうか。住んだつもりで4、5回同じ地域で民泊を体験してみたりすると、旅行と違う感覚で楽しめるかもしれません」
 
試してみて、合わなかったらまた考えればいい。Kさんのように賃貸住宅を選ぶなど、将来の暮らしや気持ちの変化に合わせて切り替えられる柔軟な方法を選べば、気軽にデュアルライフが始められそうです。



【プロフィール】
Kさん
2011年の結婚を機に、マウンテンバイクが趣味の夫が独身時代から借りていた長野・蓼科のアパートと都心のマンションのデュアルライフ(二拠点生活)をスタート。平日は都内に暮らしながら東京都内の企業で広報を務め、月に数回、週末を蓼科で過ごす暮らしを送る。2015年に長男を出産し、現在は家族3人で二拠点の暮らしを楽しんでいる。