つくるくらし

第3回 これからの本屋めぐり「もぐらmeets!」

ブック・ディレクター内沼晋太郎さんが主宰するBUKATSUDOの人気講座「これからの本屋講座」から生まれた全国のユニークな本屋をめぐります。
第3回は、本屋イベントを企画する「もぐらmeets!」の佐藤彩子さんのお話を伺いました。

「もぐらmeets!」は2016年から活動する、本や本屋に関わるイベントを企画するレーベル。「本のお祭りDive in books!」や、運営メンバーの1人として「1日限定!夢の本屋イベント」を開催しています。


お店がなくてもすごく面白い活動をしている人を紹介したい

――まずは、「もぐらmeets!」の活動から教えてください。

佐藤さん 本業はPR会社の会社員ですが、ライフワークとして「もぐらmeets!」と名乗って、下北沢のBOOKSHOP TRAVELLERで間借り本屋をしたり、本屋さんにまつわるイベントを企画したりしています。



――こういった企画をしようと思ったきっかけはなんですか?

佐藤さん 三年連続で開催している「本のお祭りDive in books!」では、根津にある「HOTEL GRAPHY」を会場にして、間借り店主だったり、ネット販売のみの本屋さんだったり、固定の店舗を持たずにやっている人を中心に出店してもらっているのですが、そういう、実店舗がなくてもすごく面白い活動をしている人を紹介したかったんです。それと、あまり本に触れたことがない人、本に興味はあるけどなかなか読めていない人が読み始めるきっかけにしてほしいとも思っていて。「Book serendipity」というおみくじみたいな企画をイベント内で始めました。くじを引くと「〇〇書店の入って右から二本目、上から三段目の右から三冊目の本が今日のあなたにとっていい出会いになるでしょう」みたいなことが書いてある。そうすると、普段読まないジャンルの本を手にとってもらえるかな、と。


「Book serendipity」の“おみくじ”

――2016年の「もぐらmeets!」のウェブサイト開設がスタートなんですよね。

佐藤さん もともとは「ほんにまつわるイベントをまとめたサイト」として「もぐらmeets!」を開設して、サイトやFacebookでイベント情報をまとめて発信していました。いまはイベントの紹介は休止中なのですが、他にも「ブックカーニバルinカマクラ」のお手伝いをしたり、「BUKATSUDO 文化祭」の中でやっている一箱古本市の実行委員もしたりしていて。そこで学んだことを活かして、自分でイベントをやるようになりました。そもそもの立ち上げのきっかけは、BUKATSUDO で受講した内沼晋太郎さんの本屋講座で、その講座期間内でなにか本屋的な活動を始めたいなと思って。ウェブサイトならすぐできそうだからとりあえずやってみよう、と。

――講座受講の「勢い」で始められたのですね。サイトはなぜイベント紹介だったんですか?

佐藤さん 本屋講座に行くくらいなので本屋さんは好きだったのですが、無店舗で本屋活動をしている人たちがいる、ということをほとんど知らなくて。講座で初めて、店舗がなくてもこんなにおもしろい活動をしている人がいる、というのを知ったんですね。そこで、これはPR会社という本業の影響もあると思うのですが、面白いと思ったら紹介したい、PRしたいと思ってしまって(笑)。それが2016年11月の第一回「本のお祭りDive in books!」の開催にもつながりました。他にも、本屋講座で知り合った人と一緒に、「どうにも本屋が好きなんだナイト」という飲み会も企画しました。好きな本屋で買った本の話を、新宿ゴールデン街にある「The OPEN BOOK」や高円寺の「コクテイル書房」など、本に馴染みのある場所でするという企画です。



「Dive in books!」の様子


メリハリをつけて無理をしない

――平日は本業のお仕事もあると思いますが、普段はどのように過ごされていますか?

佐藤さん 普段は、だいたい朝10時に出勤して20時ごろに退社しています。その後夕食をすませて、21時から24時くらいまで「もぐらmeets!」の活動をしています。0時から2時くらいまではリラックスタイムというか、本を読んだりする時間をとっています。睡眠は6時間くらいですね。ちょっと短くて、本当は本の時間を削って睡眠にあてたいんですが、そこを削ると「生きている意味って……」って思ってしまうんですよ(笑)。

――PR会社と聞くとハードワークなイメージがありますが、予定が崩れることはないんですか?

佐藤さん そこはうまくやりくりしています。社内から依頼を受けることが多いポジションなんですが、「それ今日やる必要ある?」って聞いたりして(笑)。優先順位づけはめちゃくちゃ大事ですね。

――勉強になります……。休日は「もぐらmeets!」の時間ですか?

佐藤さん 休日は、土曜日に出かけて、逆に日曜日はあまり外に出ないで過ごします。休養日ですね。やろうと思えば、もう少し活動的に動くこともできると思うんですが、無理はしないようにしています。じつは一度、トリプルワークを試した事があるんです。副業がOKの会社なので、本屋を始めるためのお金を貯めようと思い、本業に加えて、完全な休日はほとんどない形で、バーとイタリアンレストランの掛け持ちを2年間くらい続けていました。ただそういう生活をしていると、免疫力がなくなるんです。些細なことで病気をするようになったり、蕁麻疹ができたり、大変でした。だからいまは無理をしないようにしています。意識しているのは「夜を有効に使う」のと、「思い切って休む」こと。あたりまえなんですが、メリハリをつけて無理をしない。


もぐらmeets!が間借りする「下北沢 BOOK SHOP TRAVELER」


人の仲良しの媒介になる

――活動を三年続けてみて、生活に変化はありましたか?

佐藤さん 良かったのは、いろんな人を巻き込めたことですね。「Dive in books!」も、最初に荻窪で「6次元」というブックカフェを経営するナカムラクニオさんにトーク出演の相談をしたら、イベント全体についても親身になってアドバイスをしてくださって。イベントがそもそも無名なので人に来てもらえる企画が必要だということで、「泊まれる古本市」を一緒に企画してもらいました。抽選で一名だけイベント会場のホテルに宿泊出来る。部屋にはトークゲストのナカムラクニオさんの選んだ古本が置いてあって、その場で読めるし気に入ったら買える、というものです。これがメディアにも掲載されてイベントのPRになりました。


「泊まれる古本市」の室内

佐藤さん イベントのFacebookページでは、なぜ「Dive in books!」をやりたいのか、という投稿をしっかり書きました。「もぐらmeets!」だとだれだかわからないので、自分の名前を入れて個人の発信として。これがたくさん本や本屋に興味がある人に「いいね」してもらえて、当日までつながったと思います。イベント登壇者同士もつながっていま一緒の企画をしている人がいたり、トークイベントで隣同士になった人が仲良くなって、一緒に他の本屋イベントに行きましたという報告ももらっていたりします。自分が開いた本のイベントが、人の仲良しの媒介になるというのはすごく嬉しかったです。

――これからの活動予定はありますか?

佐藤さん 最近新たに「どんどん、もぐる」という、無店舗本屋の紹介+根津で遊ぶ情報を掲載するウェブサイトをオープンさせました。「Dive in books!」のイベントをもっと地域の人に楽しんでもらったり、知ってもらいたいし、イベントで遊んだ人にも根津を楽しんでほしいんです。そこでは根津で遊ぶ部活みたいなものも作りたいです。要は一緒に私と根津で遊んでくれる人を募集しています(笑)。

――無理せず楽しく続けている「もぐらmeets!」らしいですね!




(活動概要)
もぐらmeets! (モグラミーツ)
ウェブサイト: https://mogura8ken-books.amebaownd.com/
2016年より活動開始。さまざまな本屋さんに関するイベント企画やお手伝いを行っている。「本のお祭りDive in books! 」は活動初年度より毎年企画しており、2018年は第三回を開催。新しく根津と無店舗本屋さんを紹介するサイト「どんどん、もぐる」を2019年3月にオープン。



*この記事は2018年2月23日、下北沢BOOKSHOP TRAVELLERにて開催されたイベント、もぐらmeets!×和氣正幸「本屋イベントのつくりかた」での取材内容を中心に再構成したものです。
 

取材・撮影:2019年2月
interview & writing:松井祐輔