つくるくらし

暮らす人とつくる人の目線の先に見えた、居心地のいい暮らしの源泉|『暮らし発想』イベントレポート

家族構成の違いや暮らしのなかで大切にしたいこと、空間をどんなふうに使いこなしたいのかなど、住まいに対する価値観はさまざま。本来は、一人ひとりで居心地がいいと感じる空間は違うはずですが、すべての価値観を一つの住まいに取り入れようとすれば、角が取れて当たり障りのない画一的な住まいが出来上がっていきます。
 
リビタがプロデュースする『暮らし発想リノベーション』は、こんな画一的な住まいを見つめ直し、お客様が「自由設計で自分のためだけに作った住まい」だと感じるリノベーションマンションをつくっています。サイトには、リビタが過去に手がけた2,500件以上(2018.03.31時点)のリノベーション事例と向き合い、見つけ出した住まいづくりのアイデアを掲載しています。
 


今回は、過去に住まいのリノベーションを経験した購入者をゲストに招き、暮らしの楽しみ方について考えたイベントの様子をレポートします。リノベーションの過程で大切にしたこと、暮らしてみて分かった暮らしの変化や快適なリノベーションのアイデアについて、リビタとゲストの垣根なくざっくばらんに語り合いました。イベントには、リノベーションを手がけた設計者や建築家も参加して、“暮らしている人”と“つくった人”の目線が混ざり合い、居心地のいい住まいへのアイデアの源泉が生まれていました。
 

リノベーションをしたら、家に引きこもるようになった?!
 
ゲスト:今のリノベーションマンションに引っ越して2年半ですが、実はまだ街についてあまり知らないです。前に暮らしていた街と比べると、街と仲良くなれていない。それは、引っ越す前までは適当にすませていた家事と向き合うようになり、もう少し手をかけたくなって結果的に家にいる時間が長いというのが理由の一つです。
 
ゲスト:私たちも、以前は狭い社宅だったので、リノベーションで広いリビングを手に入れたことで、家にいる時間が増えました。以前は休みの日は出かけることが多かったのですが、広いリビングがあると、そこでだらだらしてしまうのです(笑)。
 


ゲスト:私たちの家は、リビングの窓が小さいです。引っ越し当初は、それをリノベーションのマイナス面だと感じていたのですが、実際に住んでみたら真夏に直射日光が入る時間帯が短いからリビングルームが暑くなりすぎず、休みの日にゆっくりできる快適な家だと気がつきました。リノベーションをしたら、外出する回数が減りました。
 
ゲスト:僕たちの家は部屋数が多いので、昼寝をする場所が家のあちこちにあります。部屋によって風や太陽の光の入り方が違うから、季節の良い時期はネコのように(笑)、居心地のいい部屋を見つけて転々と移動しながら昼寝をしています。
 

 
リビングルームを中心に快適な空間を手に入れたことで、住まいですごす時間が長くなったというゲストの皆さん。快適さの背景には、「空間の広さ」も関係しているようです。次は、広さと暮らしの関係について聞いてみました。
 

広い空間を手に入れたら、暮らしの何が変わる?
 
ゲスト:子どもが小さいので、広いスペースで自由に遊ばせてあげたくて広いリビングルームをメインにリノベーションをしました。リビングでは子どもたちが追いかけっこをしたり、ダンスをしたりと部屋の中でも体を使って遊んでいます。ささいなことですが、そのことにとても感動しました。無駄なスペースというか、何でもつかえる場所は豊かな時間をもたらしてくれるのだなと感じています。
 
ゲスト:都内から郊外に引っ越して住まい全体を広くしたのですが、リノベーションで収納スペースが広くなったので、大きな荷物を収納しやすくなりました。以前に住んでいた都内と違い、家の周りに自然がいっぱいあることも相まって、新しくアウトドアの趣味ができました。
 

 
ゲスト:私たちの家は、活用できる面積が限られていたので、子ども部屋は最低限の広さにしてそのぶん家族が集うリビングルームを可能な限り広くました。暮らし方の工夫として、子どもがスマホを触れるのはリビングルームだけという決まりをつくったこともあって、家族全員がリビングルームに集まっている時間が増えました。
 
ゲスト:僕たちの家も、リビングルームを広くとったぶん寝室が狭いです。天井も低くて空間に“こもる”感じがあって、眠るときに落ち着く広さなんです。夫婦二人ともモロッコが好きで、モロッコをイメージしたピンクの壁紙に、モロッコで買ったインテリア雑貨で統一したら、狭くても居心地のいい寝室がつくれました。
 

 
リビタ:皆さんの話から、リビングルームを中心に「そこで過ごす空間の広さ」が、家での過ごし方に大きな影響を与えていることがわかりました。また、収納や環境の広さを手に入れることで、趣味や外での時間の過ごし方など新たなアクティビティを生むきっかけになっていることもわかりました。
 
不動産会社がリノベーションマンションを手掛ける際は、限られた面積のなかでリビングルームや個室を何畳とるか、どのくらいの部屋数を用意するかというスペック重視の考え方になってしまうことが多いのですが、みなさんのお話を聞いていると、単なる数字上の広さではなく、大切にしたい居場所の心地の良さや、そこで生まれる暮らしを中心に広さや住まいのかたちを決めていくことが、良い住まいづくりにつながっていくのだと感じました。
 



“サイズダウンして暮らす”という、もう一つのすてきな選択
 
ここまで、広さにスポットを当ててきましたが、最後に“あえてサイズダウンをする”という選択で、気持ちのいい暮らしを実現しているご夫妻が登場。15平米のサイズダウンをしたエピソードを聞かせてくれました。
 
ゲスト:20代後半に、子どもを持つ可能性があるかと思い75平米の中古マンションを購入しリノベーションしました。料理が好きなので、張り切って業務用キッチンを導入したこだわりの住まいだったと思います。いま、40代後半に差し掛かって子どもを持つことなくきました。ある程度の年齢を重ねると、空間が小さくてもできることがあることがわかってきて、60平米にサイズダウンした家に住み替えました。
 
今回の引っ越しでは、「こんなものあったんだ」という20代から持っている荷物が出てきたりして(笑)、荷物をかなり減らして、今は60平米の住まいですっきりと暮らしています。キッチンも、いわゆる普通のシステムキッチンですが、以前と変わらずに楽しく料理ができています。どちらの家でも良い経験をさせてもらいましたが、いま思えば、若いころは空間を活かしきる力がなかったのかなと思います。空間の広さは大切ですが、持ち合わせている生活しだいで、暮らしは豊かになると思っています。
 

 

『暮らし発想リノベーション』が実現したい社会は……?
 
イベント当日は、リビタが企画運営するBUKATSUDOのイベントでもケータリングをされている『ひなや』から、すてきな食事が振舞われ、お酒を飲みながらわきあいあいと会話が進みました。実際にゲストのリノベーションの設計を手掛けた設計者と、そこで暮らしているお客さん、物件探しから担当したリビタのコンサルタント、『暮らし発想リノベーション』のプロジェクトメンバーが混ざり合い、久しぶりに集まった同窓会のように近況報告で盛り上がりました。最後には、リノベーションマンションのこれからの企画について、ゲストとリビタの垣根を越えて積極的な意見交換が交わされました。
 



住まいの購入検討をした方なら実感があるかもしれませんが、物件情報を見ていても、“ぴんとくる”物件が少ないと思いませんか? その背景には、買取再販と呼ばれる不動産業界の仕組みにも原因があります。買取再販とは、不動産会社が中古物件を購入して、リノベーションを施してから販売することで、現状は「大量にリノベーション物件をつくって、多くの収益を上げる」「多くの人の価値観に合うように、画一的な物件にしておく」など、作り手の事情によって物件が生み出されていることが少なくありません。
 

 
最後に、ブランドマネージャーの勝岡裕貴から、こんな業界の背景をふまえて『暮らし発想リノベーション』が実現したい世界観について話しました。
 
「世の中に、“こんな住まいに住みたい”という物件を増やしたいという思いから、『暮らし発想リノベーション』をつくりました。見た目がカッコイイとか流行りのテイストの住まいではなく、何故その物件を購入して、そこでどんな暮らし方をしたいのか? お客様の課題と悩みを聞いて、その声を物件に反映させてきた“一点もの”の物件づくりがリビタのリノベーションマンションの価値です。『暮らし発想リノベーション』では、これまでのリノベーションで培ってきたお客様の声から生まれたアイデアを紹介し、そのアイデアをリビタが手掛けるリノベーションマンションの企画にも生かしています。また、サイト内で『アクティベーションティップス』と呼んでいる暮らしのアイデアは、住宅購入を検討し始めた方にとっても実現したい暮らしかた・住まいかたを考えるきっかけになってもらいたい、という思いでご紹介しています。最後に、これからもリノベーションをして実際に暮らしている皆さんの声を聞くことで、さらにアイデアを増やし、“中古を買ってリノベーションするなら、こんな住まいがほしかった”と思ってもらえるような住まいをもっと届けていきたい。これは、皆さんと一緒に育てていきたいブランドです」
 

 
一人ひとりで住まいの価値観が違えば、人の数だけ居心地のいい住まいができるということ。リノベーション経験者と一体になって進めていく新しい物件づくりの先には、まだまだリノベーションの沃野が広がっています。
 
取材・撮影:2018年12月 
writing:石川歩、photograph:古末拓也