お宅拝見

こもりベンチと未完成の楽しみ<3/3>

家と暮らしの関与度が高まる。
完成させないという楽しみ方


——設計は、アラキ+ササキアーキテクツの佐々木珠穂さんと河埜智子さんが担当されました。お話をお聞きすると、リノベーションの方向性から仕上げやディテールのつくり方など、たくさんの提案があったようですね。
 
奥さま 女性同士でもあり、佐々木さんも子育て中で、気持ちをわかっていただけるところが多く、私の好みなどもスムーズに理解していただけたので、安心して大部分をお任せできる感じでした。最初は私が夢だったリノベーションができるということで、意気込みが強すぎて冷静ではなかったところがあったので、それを上手く落ち着かせてくれたことにも感謝しています。
 
与那覇 Nさんは、家づくりが夢だったということもあって、すごくストイックにリノベーションに向き合っていらしたので、少し肩の力を抜いて、現実的なところで地に足を付けてご提案できる設計者が合うのではないかと考えて、アラキ+ササキアーキテクツさんをご紹介しました。設計者をご紹介する時は、好みやテイストだけではなく、人柄や相性などのマッチングも重視するようにしています。
 
奥さま 私が2人の子どもの子育て中だったこともあり、負担が掛かりすぎないようにという面からも、与那覇さんと設計者さん達がよい方向に導いてくれたと感じています。無理してフルリノベーションしていたら、とても大変だったのではないかと思いますね。


 
——結果的にLDKに絞ったリノベーションになったことは、どのように感じていらっしゃいますか?
 
奥さま 住んでみて、本当に良かったと思っています。まだ子どもが小さいので、これから成長していくなかで、どうなっていくか分からないことが多く、最初につくり込みすぎてしまうと窮屈だったのではないかと。これだけ余白があるので、今後、子どもの成長に合わせ、どのようにでも空間を調整していけるという気持ちのゆとりがありますね。「こうすればよかった」というような後悔も全くなく、これから「もっとこうしていきたい」という願いが現実的なものとして考えられています。リビタには「あとリノ」というサービスもあるので、活用していきたいですね。



与那覇 最初から完璧につくろうとすると、新築で家を建てる時のアプローチに近くなり、完成形がいちばんいい状態で、それをいかにキープしていくかという住み方になってしまうのではないかと感じています。完璧につくり込みすぎず、余白を残せるのもリノベーションの面白いところ。完成していない状態のまだ見ぬ空間への期待感をもって、生活と一緒に変化していく楽しみが生まれます。暮らしと住宅の関与度が高くなり、家づくりの深みが増していくのが、リノベの醍醐味なのではないでしょうか。
 
奥さま 家やインテリアを考えること自体が大好きで、それは私の趣味ともいえると思います。よく考えれば、家を完成させてしまうとその趣味も終わってしまう。完成していないことが今はとても嬉しく、ワクワクするような気持ちで暮らしています。

文:村田保子/撮影:古末拓也
取材・撮影:2018年12月

間取り・プランを見る

  • 専有面積: 78.94㎡
  • 間取り: 2LDK
  • 既存建物竣工年: 2001年
  • リノベーション竣工年: 2017年

玄関を入ると既存を活かした2つの個室がある。広めの個室が家族の寝室で、もう一つの個室を納戸として使っているが、将来はどちらかを2つにわけて、子ども部屋にする予定だ。水まわりは既存の間取りを踏襲し、設備と仕上げを新しくした。独立型のキッチンがあった空間に、ご主人の書斎とパントリーを設け、キッチンはリビングダイニングと一体型の対面式として、開放的でオープンなLDKに。LDKには収納を兼ねた「こもりベンチ」と既存を活かしたサンルームもある。

PROJECT MEMBER

  • 株式会社リビタ 
    「リノサポ」コンサルタント 与那覇侑哉


    宅地建物取引士/インテリアコーディネーター/カラーコーディネーター 建材メーカーに入社後、商品の開発に携わる。その後、リノベーションの設計・施工管理会社を経て、2013年よりリノサポコンサルタントへ。 「理想の暮らし」や「将来の自分に合う暮らし」をお客様一人ひとりと向き合いながらヒアリング。要望を聞くだけでなく、お客様に最適な暮らしをご提案いたします。自身のリノベーション経験も交えながら、お客様が楽しく納得して進めていけるコンサルティングを心掛けています。