こもりベンチと未完成の楽しみ|お宅拝見

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こもりベンチと未完成の楽しみ

目 次
  1. 1既存を上手く活かしながら、家族が集うLDKに予算を集中
  2. 2一つずつ丁寧に検証しながら、コスト調整の着地点を見つける
  3. 3家と暮らしの関与度が高まる。完成させないという楽しみ方

6歳と3歳の男の子を育てるNさんご夫妻は、2001年に竣工した築浅マンションを購入。限られたリノベーションの予算のなかで、活かせるところは活かしながら、家族がメインで過ごすLDKに予算を集中させ、やりたいことを諦めないリノベーションを完成させました。家を建てることが子どもの頃からの夢だったという奥さまと、リビタの担当コンサルタントにお話を聞きました。

こもりベンチと未完成の楽しみ

既存を上手く活かしながら、
家族が集うLDKに予算を集中

——築16年の築浅のマンションをリノベーションされ、既存を上手く活かしながらも、メインのLDKはしっかりつくり込まれているのですね。小上がりのベンチがとても印象的な空間です。

奥さま ここは「こもりベンチ」と呼んでいます。ベンチのように寛ぐことはもちろん、子どもがお絵描きをしたり、ステージのように登って遊んだり、多目的に使える場所です。扉の奥と小上がりの下は収納で、子どものおもちゃや予備の布団などをしまう場所として使っています。

こもりベンチと未完成の楽しみ

——居場所とともに収納にもなっているんですね。空間のアクセントとしても効いていると思います。

奥さま 実は、主人が目的のない場所をつくることに反対だったので、収納の機能を加えることで、意味のある場所にしてしまおうと考え出されたアイデアです。結果的に収納量が増え、リビングに他の収納家具を置かなくてもよくなりました。壁と天井は真っ白に塗装するのが希望だったのですが、壁を飾ったりするのは苦手で、何かアクセントが欲しいという希望もありました。木造の家のような梁と柱を模したディテールとともに、木のテイストがデザイン的にも効いていると感じています。今回はリノベーションにかけられる予算が限られていたので、LDKに予算を集中させました。残りの個室は既存を流用し、壁や床などの仕上げを新しくした程度。間取りも大部分が既存を活かしているので、どこかにリノベーションならではのオリジナルな工夫を盛り込みたかったのです。「こもりベンチ」がその願いをかなえてくれました。

——モルタル天板のオープンなキッチンも、とても広々としていておしゃれで使いやすそうですね。

こもりベンチと未完成の楽しみ

奥さま 子どもたちがお手伝いをしたがるので、一緒に料理ができるように、広くてオープンなキッチンにしたいと思っていました。モルタルの天板、大判の磁器質タイル、グレーの塗装は、海外のキッチンなどを中心に好きなテイストの空間の写真を集めて、設計者さんと相談しながらイメージを固めていきました。壁は真っ白にしたかったのですが、一面だけ色を使いたいとお伝えしたところ、タイルの色と合わせたグリーングレーで梁の木部のところまで塗装するという仕上がりに。絶妙なバランスでさすがだなと思いました。あと、飾り棚や見せる収納は苦手なので、食器やキッチンツール、家電なども全て隠せるように、パントリーや収納をしっかりつくってもらえたのもよかったです。

こもりベンチと未完成の楽しみ
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一つずつ丁寧に検証しながら、
コスト調整の着地点を見つける

——ここからは、リビタのコンサルタントも交え、お話をお聞きします。Nさんご夫妻は、最初から築浅の物件を想定して、既存を活かしながらのリノベーションを希望されていたのですか?

奥さま 築浅を希望していたわけではなかったのですが、子どもの学校が近かったことや、子育てしやすい周辺環境が魅力だったので、この物件に決めました。実は、新築で一戸建ての家を建てるのが子どもの頃からの夢でした。父や親戚が建築関係の仕事をしていたので、間取りを見るのが好きで、自分の思うように設計してもらいたかった。でも、主人がまったく家やインテリアに興味がなかったので、半ば諦めていたんです。それでも、子どもが小学校に入学するまでには家を買いたいということになり、手軽に購入できるリノベーション済みのマンションなどを探しているうちにリビタを知りました。最初は、リビタさんが販売していた築30年ほどの物件を購入したいと思っていたのですが、残念ながら売約済みでした。その物件の周辺エリアが気に入って、探してもらったなかで出会ったのがこの家です。

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担当者 この物件は、そのままでも住めるほどきれいな状態でした。天井も高く、窓もハイサッシで、共用部や敷地もゆとりがあり、とてもポテンシャルの高いマンションだと感じ、お勧めしました。

奥さま 低層で重厚感のある建物の造り、共用部の雰囲気などはとても気に入りました。建築が好きなので、外観やエレベーターホールなども大事だと思っていたんです。やはり住みはじめてからも、毎日通るところなので、この物件でよかったなと感じています。専有部は今後も自由に変えられますが、共用部は変えられないので、見極めるポイントとしても重要ですね。

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——リノベーションの予算が限られていたとのことでしたが、減額して調整するのは大変でしたか?

奥さま 築浅だったので物件価格の割合が少し増えてしまったことや、「既存がきれいで活かせられるね」の主人の意見もあり、結果的にリノベーションの予算が限られてました。最初は少ない予算のなかでもフルリノベーションをしたいと、意気込んでいたのですが、担当者さんや設計者さんにアドバイスをいただき、現在のLDKに絞ったリノベーションの方向に落ち着きました。方向性が定まってからは、減額も全て納得できる形で決めることができました。

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独立型のキッチンだった部分の一部がご主人の書斎に。

担当者 フルリノベをする場合と、LDKに絞った場合の2パターンのご提案をしましたが、やはりフルリノベーションだと予算的にも現実的ではないため、どこに重点を置くかということを、しっかりお話しながら進め、既存部分の活かし方も満足していただける着地点を確認しながら進めていきました。たとえばサンルームや個室の建具は既存を流用し、白く塗装しているのですが、デザインもシンプルだったので、塗装すれば十分に新しい空間に馴染むのではないかとか、一つずつ一緒に考えていただいて、検証しながら決めていきました。

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家と暮らしの関与度が高まる。
完成させないという楽しみ方

——設計は、アラキ+ササキアーキテクツの佐々木珠穂さんと河埜智子さんが担当されました。お話をお聞きすると、リノベーションの方向性から仕上げやディテールのつくり方など、たくさんの提案があったようですね。

奥さま 女性同士でもあり、佐々木さんも子育て中で、気持ちをわかっていただけるところが多く、私の好みなどもスムーズに理解していただけたので、安心して大部分をお任せできる感じでした。最初は私が夢だったリノベーションができるということで、意気込みが強すぎて冷静ではなかったところがあったので、それを上手く落ち着かせてくれたことにも感謝しています。

担当者 Nさんは、家づくりが夢だったということもあって、すごくストイックにリノベーションに向き合っていらしたので、少し肩の力を抜いて、現実的なところで地に足を付けてご提案できる設計者が合うのではないかと考えて、アラキ+ササキアーキテクツさんをご紹介しました。設計者をご紹介する時は、好みやテイストだけではなく、人柄や相性などのマッチングも重視するようにしています。

奥さま 私が2人の子どもの子育て中だったこともあり、負担が掛かりすぎないようにという面からも、担当者さんと設計者さん達がよい方向に導いてくれたと感じています。無理してフルリノベーションしていたら、とても大変だったのではないかと思いますね。

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——結果的にLDKに絞ったリノベーションになったことは、どのように感じていらっしゃいますか?

奥さま 住んでみて、本当に良かったと思っています。まだ子どもが小さいので、これから成長していくなかで、どうなっていくか分からないことが多く、最初につくり込みすぎてしまうと窮屈だったのではないかと。これだけ余白があるので、今後、子どもの成長に合わせ、どのようにでも空間を調整していけるという気持ちのゆとりがありますね。「こうすればよかった」というような後悔も全くなく、これから「もっとこうしていきたい」という願いが現実的なものとして考えられています。リビタには「あとリノ」というサービスもあるので、活用していきたいですね。

こもりベンチと未完成の楽しみ

担当者 最初から完璧につくろうとすると、新築で家を建てる時のアプローチに近くなり、完成形がいちばんいい状態で、それをいかにキープしていくかという住み方になってしまうのではないかと感じています。完璧につくり込みすぎず、余白を残せるのもリノベーションの面白いところ。完成していない状態のまだ見ぬ空間への期待感をもって、生活と一緒に変化していく楽しみが生まれます。暮らしと住宅の関与度が高くなり、家づくりの深みが増していくのが、リノベの醍醐味なのではないでしょうか。

奥さま 家やインテリアを考えること自体が大好きで、それは私の趣味ともいえると思います。よく考えれば、家を完成させてしまうとその趣味も終わってしまう。完成していないことが今はとても嬉しく、ワクワクするような気持ちで暮らしています。

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