お宅拝見

三角本棚と吹き抜け空間<3/3>



三角屋根の天井と合板の壁が囲む
アトリエのような雰囲気のLDK


——続いて2階に行きます。床がオークの複合フローリング、壁がワラン合板ですね。壁一面に本棚があり、天井は三角の屋根の形に仕上げられていて、温かみのある雰囲気です。



ご主人:壁の合板は、ダークブラウンのオスモカラーで塗装しています。落ち着いたアトリエ的な空間に仕上がって気に入っています。壁面の本棚の一角には、私のワークスペースもつくってもらいました。正面に窓を設けて、外の景色を感じながら仕事をしたりパソコンをしたりして過ごしています。当初のプランでは1階のクローゼットの奥に書斎を設ける予定でした。以前の住まいにも書斎があったのですが、あまり使わなかったので、LDKにデスクがあれば十分事足りると考え、書斎はなくして、その分クローゼットを広くしてもらいました。


書斎のかわりに作ったワークスペース。コンパクトだがパソコンワークには充分な広さ。

奥さま:本棚も大容量だから、何も入っていない棚がたくさんあって、それが余白になっているので、圧迫感がなくていいですね。一番下の棚は犬たちの居場所にもなっているんですよ。穴にもぐり込むような感じで居心地がいいんだと思います。
 
——キッチンの天板とダイニングテーブルはオリジナルの造作ですね。同じ素材による仕上げですよね?





ご主人:コンクリートかモルタルが良かったのですが、雑誌か何かでモールテックスという素材を知って、良さそうだったので使ってもらいました。モルタルのような仕上がりだけどクラックが入りにくい特徴があるそうです。この質感もとても気に入っています。
 
奥さま:キッチンはとにかくシンプルな造りにしたいと思いました。前の家では、システムキッチンをカスタムしたものを使っていたのですが、複雑な機能や引き出しがたくさんあったりしてオーバースペックだと感じていたんです。余計なものは極力省いて造作してもらいました。



——最後にリノベーションを選択するまでの経緯についてお伺いいたします。冒頭で、今回のリノベの設計者として納谷新さんのお名前が登場しましたが、 Nさんご夫妻は、納谷さんが手掛けたリビタのリノベーション済み戸建て「井の頭の家」の内覧をされて、リノベーションをしようと思われたのですよね? 
 
ご主人:そうなんです。12年前に京都で新築一戸建てを建てたのですが、東京に転勤になって、私だけ単身赴任していました。家族で東京に住むことになって家を探していたんですが、当初は新築の一軒家に住み替えるつもりでした。「井の頭の家」を見て、リノベーションの面白さに惹かれて方向転換したんです。
 
——「井の頭の家」やリノベーションについて、どんなところが面白いと思われましたか?
 
ご主人:井の頭の家」は吹き抜けからの光の入り方、木やモルタルなどの素材が光を受けてとても美しく見えるように工夫されていて新鮮さを感じました。また、あるものを活用して価値を高めていくというリノベーションのコンセプトにも共感しました。空き家などの社会的な問題を解決することにもつながりますから、自分でもやってみたいと思ったのです。それに新築を建てることはすでに経験しているので、次はリノベーションをやってみたいと思いました。



——既存の物件は築45年ですが、築年数についてはどのように感じられましたか?
 
ご主人:昔の家は、木材なども良い素材が使われているし、丁寧に建てられている良さもあると思います。天井が高くゆったりと建てられているところも、リノベーションをするなら自由度が上がっていいなと感じました。時間を経た建物がもつ佇まいも良かったので、耐震補強や断熱などをしっかり施せば、リノベーションならではの良い家がつくれると思いました。予算的に新築で建てることが難しいエリア、環境の良い立地でも、中古リノベを選択することで戸建ての家がもてるのも魅力だと思います。
実際にリノベーションをしてみると、構造部分の傷み具合など解体しないと分からないこともあり、計画通りにはいかないことも知りましたが、予算なども含めてコントロールしながら進めていくのもリノベならでは醍醐味だと感じました。




 
文:村田保子/撮影:古末拓也
取材・撮影:2017年8月

 

間取り・プランを見る

  • 専有面積: 199.68㎡
  • 間取り: 2LDK
  • 既存建物竣工年: 1972年
  • リノベーション竣工年: 2017年

玄関を入ると吹き抜けの玄関ホールがあり、左側にはガラス張りの洗面室と浴室。奥に引戸で仕切られた寝室、さらに奥には大容量のウォークインクローゼットが続く。寝室の隣は客間として利用している和室。ゆるやかな曲線を描くスチール製の階段で2階へ向かうと、ワンフロアまるごとLDKが広がる。吹き抜けを囲むように配置されたバルコニーへは2カ所の出入り口があり、回遊性のあるプランとなっている。

PROJECT MEMBER

  • 株式会社リビタ 
    「リノサポ」コンサルタント 大嶋亮


    宅地建物取引士/既存住宅アドバイザー 兵庫県生まれ。商空間の設計施工会社で営業、現場管理、設計などを経験。その後、建築設計事務所へ転職し住宅・店舗設計を担当。2008年に株式会社リビタへ入社。 リノベーションの得意な不動産コンサルタントとして、建築的な知識・目線、不動産知識・経験則を活かした売却戦略や賃貸など中長期的な目線で、一人ひとりに最適な暮らし方や住まい方を提案いたします。