お宅拝見

昭和レトロにリノベーション。築60年の一軒家の味わいを活かす<3/3>

―プランのコンセプト、こだわりのポイントを教えてください。

◎たくさんの人が集まる多目的でパブリックな土間

   
左から)仕事場/プロジェクタ投影仕様/来客スペースとして\/パーティ会場として

 
Fさん:元美容室の店舗スペースだった玄関すぐの空間は、白い壁とコンクリートの土間。商店街に面した窓からは、通りを行き交う人が見えるオープンな雰囲気です。この土間は、家族がそれぞれの友人や仲間を呼んで自由に使えるパブリックな空間としてつくりました。私は仕事の打ち合せに、ガールスカウトやPTAの活動に参加する妻は仲間とのミーティングに、中学生の娘はバンドの練習に、高校生の息子は友達を集めて宿題をしたり、遊んだりと、日常的にたくさんの人たちとシェアしています。週末には、近所に住む親戚や甥っ子、姪っ子が集まって皆で賑やかに食事をする場所にもなりますね。
テーブルは、なかなかイメージ通りのモノが見つからなかったので、結局、松の古材の天板、黒皮鉄の脚の組み合わせをリメイク家具店にオーダー。古材は昔の蔵で使われていた床材ですが、工房のある埼玉の山奥まで足を運び、自分で気に入った板をチョイスしました。1700×780mmと大きめなので、大人数が集まっても大丈夫だし、作業台としても使えます。2階に自分の個室があり、通常はそこで仕事をしていますが、煮詰まったときなど、気分を変えて土間をワークスペースとして使ったり、コーヒーを楽しむカフェ空間として使うことも多いです。


築60年の味わいを活かし、昭和レトロの演出を楽しむ


明るく白い土間とは対象的に落着いた雰囲気のリビング。

Fさん:土間から続く小上がりの空間はリビング。趣味の本だけでなく、仕事で資料として使う雑誌などが並ぶ本棚もここに置いてあるので、ライブラリーのような場所でもあります。2階へ続く急勾配の古い階段もそのまま残しました。
築60年ならではの年季の入った柱や階段、40年前の浴室の玉石タイル、型ガラスなどの既存物件に残るパーツを最初に見た時に、これらを上手く活かして、古い要素と新しい要素が混在する(新しいけど懐かしい様な)空間にしようと考えました。床は構造用合板でラフに仕上げ、リビングにはカリモクのソファやホーローの照明をコーディネイトして、ミッドセンチュリー風に。その奥のダイングキッチンは、デコラ天板のテーブル、合皮錨打ちの椅子、花柄のキッチン雑貨などを集めて、昭和の団地の食卓を思わせる雰囲気にしました。結果的に趣味で集めてい る、昭和の生活雑貨や20~40年前のテレビやラジオなどのレトロ家電ともマッチして満足のいく出来栄えです。



昭和レトロを演出するモノが室内のいたるところに散りばめられている。

収納で間仕切った2階は、家族のプライベート空間


Fさん:1階がいろいろな人が集まって、キッチンの奥まで自由に入ってもらえるようなオープンな空間に対して、2階は家族のための空間になっています。子どもたちももう中学生と高校生で、個々のライフスタイルがあり、大人が4人いるようなものなので、それぞれのプライベートな空間と収納を設けました。造作の収納家具で間仕切りした4つの空間は、物理的に個室になっているわけではありませんが、気持ち的には「個」が保たれた自分だけの空間になっています。


仕切りながらも気配や空気の抜ける気持ちよいプライベート空間。

―引っ越してきてから、変わったことはありますか?


Fさん:今までは、色んな意味で(?)「家族以外の人を呼べない家」でしたから、毎日のように、隣に住む両親や近隣の親戚、友人など、家族と関わりのある人が、土間や家に出入りしているというのは大きな変化です。こういう感覚は、このエリア(下町)ならではのモノなのかもしれませんが、(自分の育って来た環境には無いものなので)大らかでいいな、と新鮮に感じています。たくさんの人がいつも自由に出入りしている家をイメージして、1階の土間をつくったので、想定していた通りに機能しているのが嬉しいです。


土間からリビングへ上がる戸上がり部分は、まるで縁側のような雰囲気。

―これからやってみたいことは?


Fさん:1階の土間では、白い壁をスクリーン代わりに、PCの画面やDVDを投影することもできるので、このスペースを上手く使って、写真やイラストなどを展示するギャラリーとして使用したり、トークショーやイベント、ライブ、料理教室などを開催したり、近隣の商店街などの地域貢献に活かしたりと、多目的でパブリックな活動を考えていて、出来ることから少しづつでも実現していければと思っています。
将来的には、隣の実家と合わせて建替えすることも考えています。あと何年住むか分かりませんが、それまでは味わいのあるこの空間を思いっきり楽しみたいです。




 
文:村田保子/撮影:鈴木拓也
 

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  • 専有面積: 99.38㎡
  • 間取り: 4LDK+土間
  • 既存建物竣工年: 不明年
  • リノベーション竣工年: 2011年

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