豊かに暮らすひと

植物の力を感じながら、一日一日を全力で生きる。<4/5>
壱岐ゆかりさん THE LITTLE SHOP OF FLOWERSオーナー

原宿駅の近く、木々が茂る一軒家の軒先に、壱岐ゆかりさんがオーナーを務める「THE LITTLE SHOP OF FLOWERS」はあります。店頭にはニュアンスある色味の花が並び、枯れる過程も楽しめるブーケなど新しい花のかたちを提案しています。日本と海外を繋いでPRをする爆速の人生から一転、出張先で出会った自己流の花屋に触発されて、現在は植物に囲まれた暮らしを送る壱岐さんにお話を聞きました。

物件との出会いからはじまった、「THE LITTLE SHOP OF FLOWERS」第2章

— 代々木上原から原宿に移転して、現在では6人のスタッフを抱えています。2017年で8年目を迎える「THE LITTLE SHOP OF FLOWERS」は、店の模様替え感覚でやっていたころからはずいぶん変わったのではないでしょうか?

代々木上原から移転を考えたときに、この原宿の物件が見つかって、友だちの「eatrip」にも相談して、きっとこの物件は、なかなか出てこないとお互いに感じて契約しました。物件との出会いからはじまって「eatrip」はレストランをオープンしたし、「THE LITTLE SHOP OF FLOWERS」も少しずつスタッフが増えていきました。

賃貸の更新をするたびに、レストランのチームとは「最初は続けられないかもと思っていたね」と言い合います(笑)。それでもこの場所にうつって6年目を迎えられました。いつどうなるかなんて分からないけれど、細く長く続けていければと思っています。

店舗にいることが好きなので、なるべくここにいたいのですが、おかげさまで商業施設や展示会の現場に装花に行く機会が増えて、今はなかなかいられません。装花の現場は現場のリズムで物事が進むので、自分の体がお店にいるときと違ってくるんです。今は、店と現場にいる良いバランスが必要だなと感じています。

「eatrip」の軒先にある「THE LITTLE SHOP OF FLOWERS」。頭上に大きく茂った木々の木陰が気持ちいい


— 8年のあいだに、妊娠と出産を経験されました。自営業と子育ては、どのように両立されましたか?

花卉(かき)市場に行くのが朝の4時30分なので、乳飲み子に大泣きされながら出勤してもいいのか、自問自答していました。自分が働きすぎている意識はあったし、朝は一緒にいてあげられないし…、ずっと子どもと一緒にいるお母さんと比べがちでした。

それでも大丈夫、1000人いたら1000通りの子育てがあるんだと思えるようになったのは、5年経ってからです。 出来ないと言える強さがついたら時間ができて、その時間を子どもに与えることができるようになりました。それは、スタッフのおかげでできているのですが、自分なりの働き方と子育てがやっと確立できて、自分らしい時間軸の暮らしかたになったと思います。

— 話を聞いていると、壱岐さんは仕事も暮らしも全力疾走で取り組んでいるように感じます。最後に聞きたいのですが、これからの日々はどんなふうに過ごしていきたいと思っていますか?

今は仕事も生活も必死でやっていて、毎日寝るぎりぎりまで充実しています。今日も生ききったな! という感じです。24時間、めいいっぱいにやっていると言えるので、今のところはそれが理想のかたちだと思います。私の周りの人たちも全力疾走しているので影響されているのもありますが、これからもずっと仕事はしていきたいなとと思います。

心身健やかでいるために、無理をせずに自分の気持ちに素直でいることと、あまのじゃくにならないことを気を付けつつ、これからも大切に守っていきます。

花屋と母親業、どちらにも全力疾走で取り組んでいる壱岐さん。さながら草花のように生き生きとしていた
 
interview_ 石川歩 photograph_ 古末拓也
取材・撮影:2017年6月