くらし談義

北欧のライフスタイルに教わった「フィットする暮らし」の心地よさ。<4/5>
青木耕平さん・佐藤友子さん 「北欧、暮らしの道具店」運営・株式会社クラシコム

食器、日用品、ファッション小物など、暮らしの道具を紹介している『北欧、暮らしの道具店』。日々を心地よく暮らすための提案が詰まったさまざまな読み物も人気のネットショップです。ショップを運営する株式会社クラシコムは、「全員18時退社残業なし」というワークスタイルを徹底しながら業績アップを続ける企業としても注目を集めています。今回はクラシコムの代表取締役・青木耕平さんと、『北欧、暮らしの道具店』の店長も務める同社取締役の佐藤友子さんに、「フィットする暮らしづくり」についてお話を伺ってきました。

住まいに求めるのは「居心地の良さ」と「編集できる余地があること」
 
―お二人のお住まいについてお聞きしたいのですが、これまでの住まい遍歴を教えてください。
 
佐藤さん 以前は国立市内にある築年数の古い団地に住んでいました。団地ができた当時からほとんど改装されていない、『天然生活』や『クウネル』に出てきそうな味わいたっぷりの部屋でした。分譲賃貸だったのですが、オーナーの方が「自由に手を加えていいよ」と仰ってくださって、自分たちで好きに手を入れながら暮らしていたんです。南向きで明るく、窓の外には森のような緑もあって、すごく気に入っていました。
 
子どもが生まれてからもしばらくはそこに住んでいたのですが、もっと会社の近くに住んで生活効率を上げたいという気持ちから、4年ほど前に駅からも会社からも近い築浅マンションに引っ越して、今も暮らしています。
 
今のマンションは、床も壁も天井もとにかく真っ白なんです。天井も高くて、箱のような空間なんですね。賃貸でそこまでシンプルな物件ってなかなかないじゃないですか。自分たちの色を加えていける余地があることに、好奇心を掻き立てられました。
 
今の家は改装NGなんですが、できないなりの工夫を楽しんでいます。壁紙を傷つけずにきれいに剥がせるフックだったり、賃貸でも壁に取り付けられる棚とか、ホームセンターに行ってはそんなアイテムを探しています。こうした経験は店のコンテンツづくりにも生きていて、賃貸暮らしでもできる部屋づくりのアイデアを紹介したりしています。今の家に住み始めて「改装できなくても、工夫次第で自分らしい空間づくりはできる」ということが習得できましたね。
 
青木さん 僕も、国立で最初に住み始めた家はUR賃貸住宅の団地でした。その次にマンションに住んで、今は一戸建ての賃貸に住んでいます。
 
今の住まいは、オーナーの知り合いが声を掛けてくれてたまたま出会った物件でした。オーナーが終の住処として建築家と建てたもので、普通のハウスメーカーが建てる家は経済合理性が優先されますが、そういうのがまったくない、一切妥協せずこだわったことが見て取れる家なんです。1階も2階も各部屋が引き戸で仕切られていて、開けるとひとつの空間になるようになってるんです。小さな窓も各所にあって、とにかく風通しが良い。天然素材もふんだんに使われた、非常に凝った家なんですね。
 
僕はものすごく出不精なので、家から一歩も出なくても気持ち良く過ごせることが気に入っています。
 

ソファコーナーでのリラックスタイムはアイデアの発想に欠かせないもの。無垢フローリングも、まるで住宅のリビングのような心地よさを演出。
 
―お二人は「いつか家をつくってみたい」という願望はありますか?
 
青木さん 「家を持ちたい」という願望はあまりないのですが、もし持つことになったら、「ロの字型」の家を建ててみたいですね。外側には窓がひとつもなくて、空気孔しかない。でも、内側はたくさん窓があって開かれているような。完全に引きこもりの発想ですが(笑)。
 
佐藤さん 私はいつか絶対リノベーションをしたい!と思っているんです。私は青木と会社を立ち上げる前はインテリアコーディネイターの仕事をしていたくせに、まっさらな空間でいちからつくっていくということが苦手で(笑)。もともとの間取りや内装があるような、制約がある空間のほうががぜん燃えるタイプなんです。このマンションだったら間取りをこう変えて、こういう家具を作って、こんな照明を付けて…というふうに、家づくりしてみたいですね。
 
―職場も住まいも国立というお二人ですが、国立の街の気に入っているところを教えてください。
 
佐藤さん 国立の街は子育てがしやすいし、なるべく長く住んでいたいと思っています。この街に住もうと思ったきっかけになった大学通りも、街の雰囲気も気に入っています。仕事で都心に出掛けて夜に国立に帰ってくると、空気が違うんですよ。「気持ちがいい」と思えることが、飽きずにこの街に住み続けていられる理由かもしれません。
 
青木さん 僕も、大学通りの気持ちよさや、住宅街らしい落ち着いた雰囲気が国立の好きなところですね。僕は住む街や家に対するこだわりはあまりなくて、決め手になるのはいつも感覚。住む街も家もオフィスも、風通しや日当たりなど、気の流れがいいと感じるかどうかを重視しています。
 
佐藤さん いつか子どもから手が離れて、自分のためにいろんなことをインプットしたいという季節が巡ってきたら、吉祥寺や西荻窪のような、今よりも少し刺激のある街に暮らしてみるのもいいかなと思っています。夜、街を歩いているだけで何だか楽しいとか、美味しいご飯を食べに行ける店が近くにあるとか。そんな街で中古リノベーションをやってみたいです。


※1 『Airbnb』(エアビーアンドビー) 宿泊施設・民宿の貸し手と借り手をつなぐマッチングサイト。世界190カ国以上の国々の宿が登録されている。
 
text_佐藤可奈子 photograph_古末拓也
取材・撮影:2016年3月