豊かに暮らすひと

心地よい暮らしのために、変化を選択する生き方<1/1>
石井佳苗さん インテリアスタイリスト

2019年11月9日(土)10日(日)の2日間にわたって開催されたリノベーションEXPO JAPAN TOKYO×Farmer's Market「RE LIFE」にて、トークセミナーを開催しました。「心地よい暮らしのために、変化を選択する生き方」をテーマに、石井佳苗さんからお話を伺いました。

PROFILE

石井佳苗(いしい・かなえ)
東京都出身。インテリアスタイリスト。インテリアメーカーに10年間勤務後、独立。雑誌、広告、CMカタログ等、インテリアを中心にライフタイル全般の提案やスタイリングを中心に、ショップディスプレイ、モデルハウスのスタイリング、商品開発等幅広く活躍。2017年にはNHK『趣味どきっ!』の講師もつとめる。又、スタイリストのならではのセンス溢れるDIYは女性の中でも先駆け的存在となり、自宅やアトリエのセルフリノベーションやDIYのライフスタイルも注目されている。著書『Love customizer 簡単!インテリアDIYのアイデア』(エクスナレッジ) 『インテリア練習帖』(宝島社) 『DAILY LIFE』(エクスナレッジ)がある。近著は、『Love customizer2 セルフリノベーションでつくる家』(エクスナレッジ)、『Heima これからのすまい支度』(宝島社)、「リンネル特別編集 Heima 私になれる住まいの選択」(宝島社)が発売。
instagramでも日々の暮らしを更新中 @kanaeishii_lc
Love customizer HP http://lovecustomizer.com/

「自分らしく生きる・暮らす」ためのヒントとは。

「自分らしく生きる・暮らす」というテーマのもと、様々な業界のトッププレイヤーからお話を伺ったリノベーションEXPO JAPAN TOKYO×Farmer’s Market「RE LIFEのトークセミナー。今回は、「のくらし」を運営する株式会社リビタ大嶋亮がファシリテーションを務めた、インテリアスタイリスト・石井佳苗さんのセミナー「心地よい暮らしのために、変化を選択する生き方 supported by ReBITA」の様子をお届けします。


14歳で体験したインテリアをスタイリングすること


インテリアスタイリストして活躍される石井さんが生まれ育った町は、町工場が至るところに点在する、東京都大田区。実は14歳の時、すでに自分の部屋のインテリアをスタイリングする経験をされていました。

「自宅の増築に伴ってできた、自分の部屋のインテリアを自ら選ぶよう母から言われたことがきっかけで、床材や天井、壁などをどうするか、実際に大工さんと一緒に話し合って決めたのが初めてのインテリアをスタイリングする経験でした。部屋のカーテンもお店で選び、母に仕立ててもらうなど、こだわって作った部屋は、今も息子が受け継ぎ使っています。」(石井さん)

中学生にしてインテリアをスタイリングするという貴重な体験が、石井さんがインテリアに関心を抱くきっかけとなり、後の活動にもつながる「セルフリノベの始まり」であったのです。



2つの場所で感性を磨いて生まれたミックススタイル

短大卒業後、一度はアパレル会社へ就職された石井さん。その後、結婚を機に改めて感じたインテリアへの関心の高まりから、イタリアの高級家具メーカーとしても有名なカッシーナ・イクスシー(以下、カッシーナ)への転職を決断され、その後10年間にわたり、インテリアに直に関わる仕事に携わりました。学生時代にデザインを専攻していたわけではないので、仕事をしながらインテリアを学んでいたそう。

「仕事を通して出会った数々のスタイリストたちの振る舞いや見る目を、敏感に吸収する姿勢を持ち続けていたことが『審美眼を磨く』ことにつながりました。一方で、趣味でよく骨董市へも足を運びました。骨董市に並ぶ数多くの品々の中から心に響くものを見つけることが、『感性の筋トレ』にもなりました。」(石井さん)

カッシーナでは、ある種、完成されたインテリアに触れながら、骨董市で心温まるようなものを見る。そして、カッシーナと骨董市でのインテリアたちは、作られた国や経緯はバラバラであるものの、「自身の目で選んだもの」としては繋がっている。一見両極端にも思える2つの場所で出会ったインテリアたちが、自身の感性を通して結びつき、「ミックススタイル」という自身の部屋のスタイリング手法を形作っているのだそうです。




インテリアスタイリストとして独立した転機

「カッシーナでインテリアの仕事に携わる中で、1つのメーカーにいることで、すべてのインテリアに関わることができない、というもどかしさも感じていました。インテリアが全部好きだからこそ、いろいろなもの見たい、扱いたい、コーディネートしたい、という気持ちが芽生え、10年間勤務したカッシーナを退職するという大きな決断をしました。」(石井さん)

また、インテリアスタイリストとしての仕事を始めるきっかけとして、偶然声をかけていただいたことが始まりである一方、スタイリストとしての師匠がいないことから、自ら切り拓いていかなければならないという決心もあったそう。カッシーナや骨董市で培われた感性を磨く姿勢が、インテリアスタイリストで活躍される現在に繋がっているのでしょう。


自分の気持ちに素直になるための引越し

これまでに、仕事やプライベートの拠点となる家の引越しを何度も経験されてきた石井さん。

「家は一生のものではない、自由に自分と家を結びつける、という考えのもと、自分の気持ちの変化に応じて素直にした選択は、自分自身の生活にプラスの力を与えてくれました。特に、精神的な安らぎを求め、思い切って都内から横須賀・浦賀への転居を決断したときは、これまでの都会の暮らしとは異なる、緑に囲まれた暮らしを送ることになり、落ち込んでいた気持ちがすっとほどかれいきました。他にも、仕事の状況や人との関わりを考え、その時々の自分にあった暮らしを選んできました。」(石井さん)

選択肢の多様化する現代社会では、住まいを「気持ちに応じて変える」決断も、暮らしを良くする選択の一つなのではないでしょうか。

そのほかにも、、お気に入りのインテリアや、石井さんが飼われている3匹の愛猫の話で会場が盛り上がる中、
最後に、「石井さんにとっての心地よい暮らしとは」との問いにはこのように答えてくださいました。


「自分に素直になること、本来の自分に戻れる場所があること」

自分のその時の気持ちに素直に生きること、それが心地よい暮らしに結びついていく。
そして、その気持ちに素直になるために、仕事や住まいに変化を起こすことも選択する。
それは、石井さんのこれまでの生き方を映した言葉のようでした。



石井さんの、固定概念にとらわれず変化を恐れない素直な考え方や、過去の経験を今や未来へと着実に繋げていく素敵な生き方は、会場にお越しいただいた皆様・本記事の読者の皆様のご自身の暮らしを見つめなおすヒントになるのではないでしょうか。

のくらしでは、今後も暮らしにまつわる情報やトークイベントの様子をお届けしていきます。またの更新をお楽しみに。

 
photo_野口萌奈美