野崎 亙さんインタビュー本と恋に落ちてしまう書店・文喫。出会いを誘発する「多義性のある空間」とは?|住まいのヒント

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住まいのヒント

野崎 亙さんインタビュー
本と恋に落ちてしまう書店・文喫。
出会いを誘発する「多義性のある空間」とは?

目 次
  1. 1人生を変える偶然の出会いは意図的に起こせるか
  2. 2その人自身が文脈を紡げるだけの“間”を作りたかった
  3. 3作為を隠して人をいざなう「文喫」で、プロデューサーが唯一隠しきれなかったもの
  4. 4張り巡らせた文脈をあえてサジェストしない

働き方の祭典『Tokyo Work Design Week』のオーガナイザーであり、鎌倉にあるシェアオフィス『北条SANCI』プロデューサー・横石崇を案内役に、カフェ、本屋、服屋など「働く」と「暮らす」が同居するさまざまな空間を訪問する新連載企画『しごとば探訪』。これからのオフィスづくりや新しい働き方のヒントを探ります

連載1回目に取り上げるのは、六本木・青山ブックセンター跡地に2018年12月にオープンした書店「文喫」。入場するだけで料金が発生するシステム、「本と出会うための本屋」というコンセプトが話題を呼んでいます。

「本屋さんなのに入場料?」と思うかもしれませんが、実際に足を踏み入れてみると、その意味がわかります。一人で本と向き合うための閲覧室や複数人で利用可能な研究室のほか、喫茶室や小上がり風のスペースなどもあって、仕事をしたり、ご飯を食べたり、ソファに横になって居眠りをしたりと、皆さんさまざまな場所で、思い思いの過ごし方で本と戯れています。

出版不況と言われる中、文喫は本の売れ行きも好調だそう。約3万冊という蔵書は他店と変わらないラインナップながら、なぜかここでだけ売れる本もあるのだといいます。

この居心地の良さはどこから来るのか。なぜぼくらは運命の一冊と恋に落ちてしまうのでしょうか。総合プロデュースするスマイルズのクリエイティブディレクター・野崎亙さんに、空間づくりのこだわりを聞きました。

人生を変える偶然の出会いは意図的に起こせるか

野崎亙さんインタビュー
▲読み終わった本を返すキャスター。実は恋に落ちる本との遭遇率はここが高いらしい

横石 居心地がよくて仕事もはかどるので、文喫にはついつい足が向いてしまいます。なぜかコワーキングスペースよりも働きやすいと感じていて。そして、不思議なほど本を買ってしまうんですよね。

野崎さん 確かに思っていた以上によく売れますね。購入される方はいっぺんに2、3冊買っていくことが多いそうです。

面白いのは、売れる本が普通の書店とは違うことです。いまのところの売り上げ1位は吉本ばななさんの小説。もちろんいい本であることは間違いないんですが、新刊でも世間で話題になっている本でもないから、ちょっと意外じゃないですか? 出版社別で見てもほかの書店とは違ったランキングになっています。

でも、ここにある本はどれも普通の書店でも扱っているものばかりなんですよ。個人商店でしか置いていないようなマイナーなものは扱っていなくて。

横石 なのによく売れるし、他書店と売れ筋が異なる。どういう秘密があるのでしょうか?

野崎さん 出会えてさえいれば買っていたかもしれない本と、従来の書店では出会えていなかったということじゃないでしょうか。ここではそういう本と出会い、ある種、恋に落ち、買っていく。そんな循環が起きているんです。

横石 まさに「本と出会うための本屋」というわけですね。そもそもこのコンセプトはどうやって生まれてきたのですか?

野崎さん オーナーである日本出版販売さんから最初にお話があったのは2018年の始め。ご存知のように、書籍のデジタル化やオンライン書店に押される形で、書店の数はこの十数年で半減しています。大型書店はまだ強いんですが、一番のボリュームゾーンである街場の中型書店が立ちいかなくなっている。そんな背景もあり「書店の価値を一緒に再考してくれませんか?」というのが依頼の内容でした。

当初は、とある地方の駅前書店がなくなるからどうにかしたいという話だったんですが、その話が立ち消えになり、さてどうしたものかと考えていたところに届いたのが、青山ブックセンター(以下、ABC)閉店の報でした。ABCと言えば、本屋における象徴的な存在です。六本木店においては文化そのものと言っていい。ここだからこそやれることがあるはず、ということで手を挙げました。

ただ、この時点では具体的なことはまだなにもなくて。ABCの跡地になにができるのかには多くの人が注目していますから、中途半端なことはできません。検討材料を集める目的でデンマーク、スウェーデン、上海とさまざまな「居場所」をリサーチして回りました。

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▲文喫のプロデューサー野崎氏と横石は旧知の仲。文喫のオープニングイベントでは横石も登壇した

横石 その中から現在のコンセプトにつながるヒントがあったのでしょうか?

野崎さん それら一つひとつがリソースになったのは確かですが、もっとも大きな気づきは日本の国立国会図書館を訪れた際にありました。

国会図書館の本は基本的には収蔵されていますが、部分的に本が露出している場所があります。そこを歩いていた時にたまたま『落ち葉図鑑』という本が目に留まったんです。なんの気なしに手に取ってみたら、いろいろな落ち葉がすべて手書きでデッサンしてある、とても面白い本でした。

その時は自分のクリエイティブのリソースになると思って取り込んだんですが、改めて振り返ってはたと気づいたことがありました。いまではぼくもオンラインで書籍を購入するケースがほとんどだけれど、いつも通りAmazonだけ使っていたら、『落ち葉図鑑』と出会うことはもちろん、探すことさえ絶対になかっただろうなって。

横石 Amazonなどにもリコメンド機能はありますが、まったく自分の意図しない出会い方はありません。

野崎さん 横石さんにもおそらく心に残る大切な一冊と呼べる本があると思うんですけど、ぼくにとってはドローグデザインという1990年代に活躍したオランダのデザインチームのアーカイブ本がそんな出会いでした。ぼくは学生時代にロンドンへ留学している時にこの本と出会ったのです。

この本を買ったのは「洋書を買う自分ってなんだかイケてる」「英語なんて大して喋れないけど、ビジュアルが多いから大丈夫だろう」という他愛もない理由でした。でも、結果としてこの本と出会ったことで、ぼくはデザインの世界に足を踏み入れることになった。それまでもデザインは好きでしたが、この本を読んだら、なぜ自分がデザインを好きなのかが理解できたし、自分でもできると思えたんです。

『落ち葉図鑑』にしてもドローグデザインの本にしても、ぼくはもともと探していたわけではありません。つまり、自分にとっての大切な本との出会いにはある種の偶発性があるということ。ここから「本と出会うための本屋」というコンセプトへとつながっていきました。「偶発的な本との出会いをどうやったら意図的に起こせるか」を命題に掲げて作ったのが、この文喫というわけです。

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▲分喫のフロアマップ。左手の入口から通路を抜けて、選書室があり、隣に喫茶室がある

その人自身が文脈を紡げるだけの“間”を作りたかった

横石 ビジネスの新しいアイデアもふとした偶然から生まれるケースがよくありますが、とはいえ、偶然の出会いを意図的に起こすのは簡単なことではありません。文喫では、本との偶発的な出会いを起こすために、どのような仕掛けを施したのでしょうか?

野崎さん まずはお客さんの心のゆとり、時間的なゆとりが必要ですよね。自分がドローグデザインの本と出会った時を振り返ると、海外にいたことでテンションが上がっていたことが大きい。ぼくはよく「感度のスイッチ」という言い方をするんですけど、感度をグッと上げた状態でなければ、せっかくの出会いにも反応することができません。

では、どうすれば人の感度のスイッチを意図的に入れることができるだろうか。そのための仕掛けの一つが入場料です。

ディズニーランドのゲートをくぐると若い子からおじさんまでもがキャラクターの耳をつけてしまうのは、入場料を払っているからということが一因としてあるのではないでしょうか。あるいは、寺社仏閣なら東京にもあるのに、京都へ行くと妙に静謐な気持ちに浸るのは、物理的な移動距離が関係しているのではないか、と。

人は距離、時間、お金などのコストを払うと、元を取るためにみずから満足しようとするんです。その結果として「感度のスイッチ」が入り、ここであれば本と出会いやすくなっているのかもしれません。

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▲階段を上がったピンク色の床からが有料エリア。ゲートなどで遮断されているわけではない

横石  「感度のスイッチ」を上げるために入場料金を課すという仕組みは目から鱗です。では、空間デザインの面ではどんな工夫をしていますか?

野崎さん ここはABCの跡地なので、その遺構を残そうとは当初から考えていたんですが、実際にABCの壁を剥がしてみたら下から壁が出てきたんです。ABCよりさらに前、おそらくはレストランかなにかだった時の壁です。1階の床もそう。レンガの放射線状のデザインが少し残っているのがわかりますか? これもABC時代のタイルを剥がした下から出てきたものです。

いま喫茶室と呼んでいるエリアからも、ABC時代の外装を剥がすと窓が出てきました。ただ、そのまま活かすというよりは30センチほどセットバックして新しく壁を立てたんです。それも、微妙に窓より幅が足りていない壁を。

横石 変な隙間ができて、窓が横から見えちゃいますよね?

野崎さん それが狙いです。新しく作った空間とABCの空間、そのさらに前の空間の三つが同時に存在するようにしたかった。そうすることで、空間そのものを多義的にしたかったというか。

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▲青山ブックセンター時代の壁を見て、はしゃぐ野崎氏

横石 多義的な空間、ですか。それと「本と出会うこと」にどんな関係が?

野崎さん ここの蔵書は3万冊とそう多いわけではないので、ものの15分もあればひと通り見て回ることができます。多くのお客さんはそうやって、ジャンルを超えて2冊3冊とザッピングしていく。でも、この2、3冊の本同士にはなんの脈絡もないんですよね。本と本との間に文脈をつけているのは手に取ったその人自身であって。その人の価値観や内在的思考が本と本をつないでいる。なぜそれを選んだのかを説明できるのはその人だけです。

文脈というのはこのように、本来的にその人自身が紡ぐものだと思っています。その際にこちらからのサジェストが強すぎると、出会うはずだった本と出会えない可能性が出てきてしまう。いま、多くの書店がカテゴリ分けにエディトリアルを入れたり、手間をかけて手書きのポップを作ったりと、本を売るためのさまざまな工夫を凝らしていますが、文喫ではむしろ退化させました。店内にキャプションはないし、オススメコーナーもない。カテゴリ分けもシンプルなものにした。こちらの主張を表現することをやめたんです。

空間も同じ。あえて融合させないことで、その人自身が文脈を紡げるだけの多義性、“間”を持たせたかったんです。

横石 なるほど。書店というと良い本を買う場所、教えてくれる場所という受け取り方もあるけれど、実際はそんな一方的な関係でありません。人と本の関係性は多義的です。

野崎さん だから、一応「本と出会うための本屋」というコンセプトはありますが、それに従う必要だってない。実際、デートに使っているカップルとかもいて、完全にぼくらの想像を超えた使い方でした。ここでどう過ごすかは使う人自身に委ねられているんです。

小上がりやソファでゆっくりしたり、居眠りしていたりする人もいるじゃないですか。あれなんかもすごく面白いなと思っていて。ぼく自身も家で本を読みながら「本を読みたくなくて寝る」という矛盾した夜があるんですけど、本そのものだってただ読むためだけのものじゃなくて、心地よい睡眠にいざなうものとしての本、横にあるとなんだか仕事が捗る本というのがあってもいい。

本との関係がこのように多義的なのだとすれば、この空間もまた多義的でありたいと思った。本との関係同様、空間との関係もまた、使う人自身に紡いでほしかったんです。

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▲雑多に置かれた面陳。1冊も同じ本がないので、わざわざと探す喜びもある
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作為を隠して人をいざなう「文喫」で、プロデューサーが唯一隠しきれなかったもの

本と出会うための本屋・文喫。総合プロデューサーを務めるスマイルズのクリエイティブディレクター・野崎亙さんは「本と本とをつなぐ文脈は、お客さん一人ひとりが紡ぐもの」であり、そのため文喫では「作り手側の作為を表現することをできるだけ抑え、空間としても多義性を持たせることにこだわった」と話しました。

けれどもそれは、作り手として「空間に文脈を持たせることをしない」という意味ではありません。一人ひとりの「本との運命の出会い」を演出するために、「むしろ隅々にまで文脈を張り巡らせた」と野崎さんは語ります。

文脈は張り巡らせども、主張しない。どういうことでしょうか?

張り巡らせた文脈をあえてサジェストしない

野崎亙さんインタビュー
▲一見すると本が無作為に置かれているが、見えない文脈を張り巡らせている

横石 作り手の意図を主張しすぎてしまうと、利用者一人ひとりが自分なりの文脈を紡ぐ余白を奪うことになり、偶然の出会いは生まれない。上司がなにからなにまで指示することで、部下の自由な発想を妨げてしまう構図と似ていますね。

野崎さん ははは、そうですね。ただ、文脈は使う人自身が紡ぐものだと言いましたが、なんの作為もないホワイトキューブ的な空間をただ提示しただけでは出会いは起こりません。黙って空間を差し出しただけで勝手に文脈を紡ぎ出すほど、みんながクリエイティブなわけではない。だからぼくらは文脈レスどころか、バキバキに文脈を張り巡らせています。「本と出会うための本屋」というコンセプトに基づいて、意図を持って空間を作っているということです。

例えば、選書室と閲覧室を空間的にパッキリと分けたのもその一つです。そうして本を選ぶところとそれを喫するところを極端に分けることで、人は自分のモードを切り替え、選書室では本と出会うことに集中できる。最近のブックカフェには本を空間全体に点在させるところも多いですが、文喫では限りなく一箇所に集約しています。

広さが足りないので一部閲覧室にも置いていますが、本を選ぶのに遠慮が働かないよう、こちらは逆にかなり贅沢な空間の使い方をしています。一番嫌ったのは、椅子の後ろの人が通れないような場所に書棚がある状況。そうするとその書棚にはアクセス不能になって、出会えたかもしれない可能性を潰してしまうから。

横石 確かにそうですね。逆に、閲覧室にいる側の人も、本を探しにきた人に気をとられることなく、本を読んだり、仕事をしたりすることに集中できる。

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▲閲覧室では、椅子の後ろでも、じっくり本を探せるようにスペースを贅沢に確保

野崎さん 喫茶室の真ん中にバカでかい白壁を立てたのにも当然意図があります。空間を広く使う観点からいえば完全に邪魔になるわけですが、むしろ一つひとつの空間をせせこましくしたかったんです。

横石 意外です。広い空間ほど居心地が良くて、本が読みやすくなったり、仕事をしやすくなったりしそうな気がします。どうして、わざわざ空間を分けたのでしょうか?

野崎さん 本を読む、仕事をするというのはとてもプライベートな行為じゃないですか。だからそれに適した空間にすることを意識したんです。かといってあまりに狭々しくなってしまうのも問題だから、ところどころにガラス壁を入れるなどして、空間的には狭すぎないけれど心理的には守られている状況をいかに作り出すかを心がけました。

奥の小上がりで人目をはばからずに爆睡している人がいるのも、そうやって囲まれていて、ちょっと守られている感覚があるからじゃないかな。段差を作って微妙に高くすることで、視線のレイヤーを外す工夫などもしています。そうやっていかに本と戯れるか、家で嗜むのと同じような楽しみ方ができるかを空間的に追求しました。

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▲左手の白壁や右奥にみえるブースがあることでプライベート空間を確保

横石 なるほど。この考え方をオフィスづくりに応用するなら、例えば一人で集中して作業をするための空間と大勢でコラボレーションをするための空間は明確に分けたほうが良さそうだし、前者であれば、ある程度せせこましくしたほうが機能するかもしれない。

野崎さん こんな調子で、ほかにも細部にまで文脈を張り巡らせているんです。例えば本の並びにしたってそう。『中世の古文書入門』の隣になぜか『ゲーム的リアリズムの誕生』が並んでいるのにも、スタッフが込めたなんらかの意図があるんです。ぼくには全然わからないですけどね。でも、あえてそれを表現することはしないということ。こちらが表現してしまうと、使う人が自由に文脈を紡げなくなってしまうから。

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▲雑誌棚は表紙がすべて見える。POPもなければ、検索機もない

横石 隅々まで文脈を張り巡らせるけれど、あえてそれをサジェストしない、表現しないことにもこだわっているというわけですね。

野崎さん そうです。ぼくらデザイナーの仕事って、人が自分でも気づかないうちに自然といざなわれるような、そういう文脈をどう隠し込んで置くのかというところに本質がある気がするんです。

例えば誰かに絵を描かせたいと思った時に、ホワイトキャンバスを与えて「自由に描いてください」と言うのも一つですが、教科書を渡して「本を大切にしなさい」と伝えるのも一つ。そうするとぼくがそうなのですが、勝手に落書きを始める人もいるじゃないですか(笑)。あるいは壁に「落書き禁止」と書いておいたら、バンクシーのように描きたい衝動に駆られるかもしれない。

人が動き出すのにはそれぞれの文脈があります。そのそれぞれの心が発動する、気持ちを誘導するレールを作れるかどうかがデザイナーの腕の見せどころなんだと思います。その際には、当の本人は「自分の意思で動いた」と思っているのが理想です。難しいですけど、それを実現することこそがクリエイティブやデザインの本質なんだろうと思っています。

* * *

探訪後記 (横石崇・記)

オフィスの空間づくりをしていると、「こうやって動いてほしい」というつくり手の想いや情熱がついつい先立ち、「ここにはこれがあります」「こうやって使ってください」といった言葉やサインで主張を押し付けてしまいがちだ。一方で、文喫は緻密に文脈を張り巡らせながらも、「自分の意思で動いた」と思ってもらえることに徹底的にこだわった。その結果、人はこの場所に居心地のよさを感じ、感度のスイッチを最大限にオンにできる空間として愛着をもってもらうことに成功している。もし、あなたが空間をつくって、人を動かしたいと願うのであれば、一人ひとりの自由な発想を奪おうとするのではなく、感性を信じることから始めてみてほしい。人は何事に対しても、押し付けられて恋には落ちないのである。

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