くらし談義

家のような“暮らしの場”で、人生をかけて全力で働く。<4/5>
山川咲さん crazy wedding代表

「意志をもって生きる人を増やしたい」という想いを胸に、業界経験ゼロから起業し、「完全オーダーメイド」の結婚式を提供。そのクリエイティビティの高さや、ビジネスモデルが話題となっている『crazy wedding』代表の山川咲さん。オフィスにあるキッチンでは、専属のシェフが自然食の食事をつくり、ランチは社員全員でいただく。「会社が人生の中心であり、“暮らしの場”でもある」と話す山川さんに、起業に至るまでのストーリーやオフィス空間への想いについて伺いました。

ライフスタイルを表現して、お客さまに共感してもらう
 
―現在も会社の近くの賃貸マンションに住まわれているということですよね。ご自身の住まいについて、今後何か考えていることはありますか?
 
山川さん 次に引っ越すときには、素敵なマンションを探そうかなと思っています。基本的にはオフィスの考え方と変わらないのですが、中古マンションを購入してリノベーションをしてみたいですね。その暮らし方にはすごく憧れています。イメージとしては、ベースは白で、スチールの錆などの黒っぽい部分があり、緑の植物があるというテイスト。人工的なものやデコラティブなものが、あまり好きではないので、自然に近く、自分らしいものをつくってみたいです。

―会社が暮らしの中心ではあるけれども、住む場所も良くしていきたいと目が向くようになったきっかけはありますか?
 
山川さん 私は今年で32歳になるのですが、この年齢になって住む場所がとても大事だと感じるようになってきています。今、身体を鍛えることにもトライしているんですが、意識して健康を保つとか、生活を良くしていくことに、とても意味がありそうだなと実感しているところです。私たちは自分のライフスタイルや生き方を表現し、お客さまから共感してもらわなければいけない仕事だと思っています。そういう意味ではどんな暮らしをしていて、生活にどんな哲学があり、ストーリーがあるのかが大事。その部分をもっと見つめていきたいですね。
 
自分の生き方を見つめるという点では、うちの会社には「グレートジャーニー」という仕組みもあります。1年のどこかで1カ月間休みを取っていいという。その時間は、世界を旅したり、自分と向き合ったりすることに使ってもらいます。
 
―旅をすることや長期の休みを取ることは、社員のみなさんにどのような影響を与えると思いますか?
 
山川さん その人の人生が豊かになると思います。旅は自分の人生を取り戻すには、とてもよい方法。いちばん大切なのは、これが自分の人生だと思えるかどうかです。会社に与えられた仕事だと感じてたり、やらされていると感じることが、問題のはじまりだと考えています。「やっぱり自分はこういう風に生きたい」と確認して、残りの11か月を精一杯働いたほうが、お互いハッピーだと思います。

リノベーションの敷居を低くして、気軽に相談できる雰囲気に
 
―みなさん、いろいろな気づきや刺激を得て、戻ってこられるのでしょうね。
 
山川さん 暮らしも同じですよね。自分のクリエイティビティや豊かさを高めてくれるものを取り入れることによって、進化していくと思います。また、それが仕事へのアウトプットにも生きてくる。いろいろなサービスは、クリエイティブな暮らしや生き方をしている人から受けたほうが、世界が広がると思うんです。だから、常に新しいものを取り入れていきたいと思っています。


リビタが企画・プロデュースしたオフィス商業複合施設『TABLOID』で行われた結婚式の様子

―リビタのような暮らしを提供するサービスにも同じことが言えると思います。暮らしについてこんなサービスや情報があればいいと思うことはありますか?
 
山川さん 中古マンションのリノベーションをやりたいと思っても、敷居が高いイメージがあります。30代になって視野が広がってきて、暮らしを充実させたいと感じたタイミングで、そういった情報に出会うことが難しかったり、リノベーションという手法にたどりつけなかったりする人も多いのではないでしょうか。たとえば、一人暮らしの会社員の女性がリノベーションをしたいと思っても、とても大変なことのように感じてしまうと思うんです。もう少し気軽に相談できる雰囲気があったり、コンパクトなサイズでリノベーションを試してみたりできるといいかもしれない。ジャストアイデアですけど、相談やコンサルテーションだけ受けることができて、実際の施工は友達に手伝ってもらって、予算を抑えてDIYでやることができると面白いかも。
 
暮らしにしても結婚式にしても、自分でやろうと思っても上手くいかないことが多く、スペシャリストに相談することが、とても重要だと思うんです。「ここにこの家具を置きたい」と思っても、自分で選ぶと好きなものを買ってしまうので、「ここにはこの家具が合う、それは合わない」と完全に言い切ってもらったほうが、空間はつくりやすいのではないでしょうか。
 
新築マンションやデコラティブなものが、かっこいいとされている風潮もあると思います。結婚式場もゴージャスな感じの空間が多いのですが、ゴージャスな人はそうたくさんいるものではありません。まったくそういうものを好まないのに、ゴージャスな場所でゴージャスな衣装を着ていたら、本人たちはもちろんゲストも居心地が悪くなるんです。
 
予算をかけなくても、自分たちで住みながら少しずつリノベーションすることだってできますよね。現在はコミュニティも活発になってきているから、手伝ってくれる人を探しやすくなっていると思います。そういうリノベーションのやり方や関連する情報が、もっとたくさんの人の目に触れると、家や暮らしにまつわる価値観も変わっていくのではないでしょうか。
 

interview_ 村田保子 photograph_ 古末拓也
取材・撮影:2015年4月