くらし談義

家のような“暮らしの場”で、人生をかけて全力で働く。<3/5>
山川咲さん crazy wedding代表

「意志をもって生きる人を増やしたい」という想いを胸に、業界経験ゼロから起業し、「完全オーダーメイド」の結婚式を提供。そのクリエイティビティの高さや、ビジネスモデルが話題となっている『crazy wedding』代表の山川咲さん。オフィスにあるキッチンでは、専属のシェフが自然食の食事をつくり、ランチは社員全員でいただく。「会社が人生の中心であり、“暮らしの場”でもある」と話す山川さんに、起業に至るまでのストーリーやオフィス空間への想いについて伺いました。

ランチは社員全員で、毎日愛情たっぷりのご飯を食べる
 
―創業時に住んでいた自宅兼オフィスでは、どのような暮らしをしていたのですか?
 
山川さん 大きな窓に囲まれた、とても陽当たりの良い空間でした。テラスがあって、そこで仕事をしたり、自分たちで植物を植えて、壁面緑化をしたりしていました。その頃から、キッチンでお弁当をつくって食べるということもしていましたね。普通に人が住んでいる家庭にオフィスをつくったという感覚です。そのときの暮らしは、2軒目となる今のオフィスにもつながっています。キッチンのある物件を選び、朝、昼、晩の食事をつくってもらって、お昼は社員全員で一緒に食べます。結婚式で外に出ているスタッフにはお弁当をつくってもたせますし、朝はおにぎりを準備して、夜も希望者には食事を提供できるように徐々になりました。私たちにとって一番大事なのは食べること、二番目が人間関係、三番目が世界を変える仕事をすること。私たちは、この三つまでを余裕でやることができるチームだと考えています。
 
私にとって、会社という空間は“暮らしの場”なのです。だから蛍光灯の下で働くようなオフィスビルは選びません。自然の光がふんだんに入る気持ちのいい空間であることが絶対に必要です。お昼になればご飯の匂いが漂ってきて、身体にいい自然食の食事が準備されている。専属のシェフはお母さんのような存在で、本当に愛情のこもった料理をつくってくれます。出張に出かけるときにもたせてくれるおにぎりは、のりが別に包んであって、「今日も一日、咲さんが笑顔で仕事ができますように」とメッセージを書いてくれるような。料理を通して愛情が伝わって、感動して涙が出てしまうくらい。私にとっても社員にとっても、ここは本当に家のような場所なんです。


社員全員が豊かに生きることを目的に、有機や無農薬・自然栽培野菜を使って作られる

―2軒目となる現在のオフィスもとても素敵ですが、まもなくお引っ越しをされるそうですね。
 
山川さん 次のオフィスは、何もないところに入居して、みんなで働きながらDIYでつくっていこうと思っています。ナチュラルでシンプルというテイストは変わらないのですが、もう少し武骨な雰囲気がプラスされるイメージです。3月に引っ越し予定なのですが、夏くらいまでに一端完成させたいと思っています。
 
創業時のオフィスでも壁面緑化を自分たちでやったし、今のオフィスで使っているデスクやチェアもDIYでつくりました。自分たちで手を動かしてつくることをとても大切にしています。毎日使うものを、みんなでつくることによって、その空間の空気が変わってくるような気がする。その行為は、その場所を愛することや、暮らしを愛することにつながっていくのではないでしょうか。来社いただくお客さまにも、その空気感を楽しんでいただけたらと思っています。

オフィスも感情を表現できる場所がいい
 
―世の中にそんなオフィスが増えるといいですね。働くことが楽しいと思えるようになりそうです。
 
山川さん 多くの人が仕事に行くときに、オンモードにならないといけないと感じていますよね。それは空間が与えている影響もあると思うんです。仕事だから気張らなくてはならない、頑張らなくてはならない、泣いちゃいけないという感じになってしまう。でもそうではないんです。うちではランチのときは、みんなすごく騒がしくて、パーティでもやっているのかというくらい騒がしかったり。悩めば泣くし、仲間が助けるし、一緒にものすごい高いものを目指すし。そういうコミュニケーションがある場でありたいですね。
 
―未来のオフィスや働く場所に、具体的にあったらいいなと思うものはありますか?
 
山川さん まず私たちの経験から、オフィスにキッチンを設けることはとてもおすすめできます。健康を司っているのがキッチンということもその理由ですが、キッチンという場所にはなぜか人が集まるんです。うちの社員は、何か落ち込んだり、つらいことがあると、キッチンに行くことが多い。なんとなくシェフと話をすると気持ちが晴れます。「ちょっとノドがイガイガする」と相談して、飲物をつくってもらったりすることも。なんとなく癒される場所になっているんです。
 
ほかにも寝る場所があるといいですね。次のオフィスではロフトをつくろうと思っています。そこはみんなが昼寝をできる空間にしたい。誰だって眠いときはありますから、我慢して仕事をしているより仮眠したほうが効率的です。あとは屋上にDIYで露天風呂をつくることが、今の私たちの夢ですね。
 
私たちのオフィスのテーマは「完成しないオフィス」です。なので、明確に部屋の名前を付けていないんです。カフェ、サロン、食堂、オープンスペ−スと、いろんな機能の可能性を持たせたまま、どんどん進化・変化していくオフィスでありたいなと思います。