くらし談義

家のような“暮らしの場”で、人生をかけて全力で働く。<1/5>
山川咲さん crazy wedding代表

「意志をもって生きる人を増やしたい」という想いを胸に、業界経験ゼロから起業し、「完全オーダーメイド」の結婚式を提供。そのクリエイティビティの高さや、ビジネスモデルが話題となっている『crazy wedding』代表の山川咲さん。オフィスにあるキッチンでは、専属のシェフが自然食の食事をつくり、ランチは社員全員でいただく。「会社が人生の中心であり、“暮らしの場”でもある」と話す山川さんに、起業に至るまでのストーリーやオフィス空間への想いについて伺いました。

PROFILE

crazy wedding』代表、ブランドマネジャー。大学卒業後、ベンチャーのコンサルティング会社へ入社。5年間の社会人生活を経て、退職後オーストラリアへ。帰国後、「意志をもって生きる人を増やしたい」という想いを実現するために起業。業界で不可能と言われ続けた、人生を表現するオリジナルウェディングブランド『crazy wedding』を立ち上げる。業界の革命児として、妥協のないウェディングをプロデュースし、起業わずか1年足らずで人気ブランドとなる。

全てをかけて働いていた会社を辞めて、起業を決意

―山川さんが代表を務める『crazy wedding』は、完全オーダーメイドのオリジナルのウェディングをプロデュースするチームというということですが、どのようなサービスなのですか?
 
山川さん 「人生が変わる程の結婚式」をコンセプトに、新郎新婦が自分たちらしさを表現できる、自由でクリエイティブな結婚式をプロデュースしています。家族やゲストなどのまわりの人たち、好きなものや大切なことに、とことん向き合い、その二人にしか表現できない世界に一つだけのウェディングを一緒につくっていくのです。専属のプロデューサーとアートディレクターがヒアリングを重ね、どんなウェディングにしたいのかを引き出し、アイデアを考えていきます。さまざまなイメージやコンセプトを提案し、会場もそのコンセプトに基づいて選びます。演出、会場のデザイン、オリジナルアイテムなどの手配も行い、どこにも妥協のない夢のような世界観をつくり上げていくのです。
 
―『crazy weddingを立ち上げるまでの経緯を教えてください。
 
山川さん 大学卒業後にベンチャーの人材教育コンサルティング会社に入社し、採用担当として働いていました。私が入社したときは、第2創業期といわれていて、一緒に会社を立ち上げてきたという意識があったし、私がいなければこの会社はまわらないという気持ちで、人生のすべてをかけて働いていました。しかし、丸5年が経った頃、妊娠と流産を経験し、働き方や会社との関係性を考え直すことになりました。それまで自分イコール会社だと思っていたのですが、短時間勤務を希望する場合、今までのキャリアが白紙になるなど、自分が会社の創業メンバーではなく、従業員なのだという事実を強く感じることに。また、妊娠したときに、自分の親は自分の人生の半分位を私にかけてくれたんだという想いが沸き起こり、自分の人生の尊さに気づいたのです。だから、会社のために従業員として生きることに違和感を感じて、その先は決まっていなかったのですが会社を辞める決意をしました。
 
その後、一人でオーストラリアに旅に出ました。そこで毎日新しいことを経験して、そこで自分のことを振り返ってノートに書き続ける旅をしました。そして人生との関わり方が変わったんです。大好きな会社を辞めてしまって、この先の未来も見えない。心身ともにボロボロの状態で、いろいろなことを体験する中で、私の中に生きるパワーが甦ってきました。知らない人とどうにかコミュニケーションを取ろうとして全身で伝え、受け止め、それを喜べたこと。全てだと思っていた仕事やキャリアを手放しても、私は毎日を輝かせることができるということに、妙に自信が湧いたりしました。少しずつ自分のことや大切にしたい生き方を、イージーでアバウトなオーストラリアの人たちとの関わりの中で取り戻していきました。自分の人生さえ手放さなければ、日本に戻って何かにつまずいたり、失敗しても大丈夫だと心から思い、帰国してから起業しました。


オフィスの玄関を入ると最初に目に入るのがフェイクのモスで一面が埋めつくされたグリーンの壁

―なぜ、ウェディングという分野を選んだのですか?
 
山川さん 私は25歳のときに結婚して、式を挙げたのですが、人生が変わるくらい楽しかったんです。すべてを注ぎ込んで、まったく後悔のないクリエイティブな式を挙げることができました。今までの人生では、学校でも教育でも「こうすべき」とマストをやってきたけれど、結婚式では自分が何をやりたいかという理想に向き合って、「こうしたい」を100%形にすることを初めて体験しました。結婚式が終わったとき、リアルに「夢って叶うんだな」と思ったんです。それくらい人生にインパクトのある経験は他にそうない。と想い、1ヶ月程入念なリサーチをしてすぐに事業をスタートさせました。
 
―業界内では完全なオーダーメイドのオリジナルウェディングの提供は、不可能だと言われていたそうですね。
 
山川さん 私は一人でも多くの人に「人生が変わる程の結婚式」という選択肢を提供したいと思っています。そしてただ単に楽しくやっていくだけではなく、やるからには世界を変えるくらいインパクトのある仕事がしたいと思いました。だから、業界内で言われていた不可能という言葉は気になりませんでしたね。絶対求めている人がいるからうまくいく、そう思っていました。