豊かに暮らすひと

好きな街に住みたいFPが選んだリノベーションの暮らし<2/3>
高橋洋子さん ファイナンシャルプランナー

FPに聞いたお金のはなしー住み続けてきた好きな街で家を買いたい。そんな想いを持つ人は多いことでしょう。でもロケーションの良い場所であればあるほど、予算の面で折り合いがつかないことがあります。フリーランスのジャーナリスト、ファイナンシャルプランナーとして活躍する高橋洋子さんは、長年住み続けた中野区でどうしても家を買いたいと考え、中古物件を購入してリノベーションをするという選択をしました。中野区は新宿まで電車で5~10分の距離でありながら、下町の雰囲気を醸し出すとても住みやすい人気エリア。自宅の最寄り駅から徒歩5分、使える駅は3駅あるという便利な場所に、理想に近い家を手に入れるまでどのような道のりをたどったのか、住まいにどうお金をかけたのか−−。家を購入するときに気になるお金の話について、お金の専門家であり働く母親でもある高橋さんにお話を伺いました。

デメリットは銀行の融資を受けられなかったこと
 
――具体的にどんなローンを選んだか教えてください。
 
物件購入に2,070万円、これにリノベーション費用が1,180万円かかり、住宅ローンとリフォームローンを組みました。
 
ネックになったのは住宅ローンです。建ぺい率オーバーだったため銀行が融資をしてくれませんでした。融資をしてくれたのがノンバンク1社だけでしたので、選択の余地がなく金利が通常よりも高くなってしまいました。銀行の融資が受けられない物件を購入することはデメリットだったなと思います。建ぺい率オーバーの物件は、その度合いによっては、銀行の融資を受けられなかったり、受けられても借入額や借入期間が違ったりすることがあるので注意したほうがいいですね。
(ただし、今では、建ぺい率オーバーなどの融資を受けにくい諸条件が無い場合、リノベーション費用も含めて金利の低い住宅ローンで都市銀行から借りることが可能です。)
 
リフォームローンはリフォーム会社が提携しているローンを使いました。月々の返済は住宅ローンとリフォームローンをあわせると11万円ですので、この金額でこの土地の戸建てに住めるのはなかなかないと思います。


リノベーション前の建物の内観写真を示しながら説明をする高橋さん。現在からは想像ができないほどの傷み具合だった。

住宅費を上手にコントロールして「豊かな暮らし」をする
 

――住宅ローンの選択肢がないと知った時に失敗したと感じませんでしたか?
 
私の場合、住宅ローン20年、リフォームローン15年で組んでいますが、繰り上げ返済をしているので、住宅ローンもリフォームローンもあと7年ほどで、子どもが小学校に入る頃には終わります。
 
同時期に新築のマンションを35年フルでローンを組んで購入した場合と比較すると、総額を抑えることができた結果、その半分くらいの期間でローンが終わるのは強みだと思います。教育費が一番かかる子どもの学生時期に住宅費がかからないのは大きいですね。


無理して高い家を購入し35年のフルローンを組み、将来的に家を売ればいいという考えもあります。35年後に家を売ろうと思っても、これだけ空き家が増えているので希望通りの金額で売れるとは限りません。ここ数年は変わらないかもしれませんが、2033年には空き家率が30%を超えると言われています。
 
売ることありきで家を購入するのではなく、余裕のある住宅ローンを組んだうえで、その土地や家を気に入って住まう、ということが大事だと思います。固定費である住宅費を賢くコントロールして日々の生活に余裕を持たせたほうが、豊かな暮らしができると思いますね。
 




人生の3大支出の中でコントロールできるのは住宅費だけ
 
――住宅ローンの選択肢がなかった中でも中古住宅は魅力的だとおっしゃいましたが、それはどうしてですか?
 
いわゆる人生の3大支出といわれているものに教育費、住宅費、老後費用があります。教育費は子どもの数である程度、自動的に決まってしまいますし、老後費用も自分の意志とは関係なく医療費がかかったりする可能性があります。でも住宅費だけは自分であらかじめコントロールできると思っています。
 
例えば新築は高くて手が出ないなら中古を選択するとか、駅から離れてもいいから少し物件価格を安くしたいとか、何千万円は無理だとしても数百万円なら自分でコントロールしようと思えばできるんです。


スペースを上手に使って洗濯機を配置。狭い敷地なので、デッドスペースを作らないように意識したという。

そしてリノベーションであれば間取りを自由に設計できます。自分の暮らしに合わせて家を作ることができる楽しさを、注文住宅よりもずっとリーズナブルに実現できます。私自身、リノベーションの打ち合わせは今振り返っても楽しくて、トイレ一つにしてもこんなに種類があるのかとか、浴槽も壁の色とバスタブはコーディネートできるとか、いろいろな掛け合わせの面白さを楽しめるし、家を自分たちの手で作っていく過程がとにかく面白かったですね。