豊かに暮らすひと

伝統の重さと寛容さを楽しむ、
六代目の柔らかな視点<4/4>
上出惠悟さん 九谷焼窯元「上出長右衛門窯」六代目

創業140年を迎える九谷焼の窯元・上出長右衛門窯。大学時代を東京で過ごしたのち、石川県に戻って家業の窯元を継いだ六代目・上出惠悟さんは、金沢21世紀美術館に収蔵された髑髏のお菓子壷を始め、パリやコペンハーゲンでの個展など、新しさを感じる九谷焼を提案し続けています。先祖が代々築いてきた歴史にあぐらをかかず、「日本人が感じてきた情緒や生命力を呼び戻す器」を求めて活動を続ける上出さん。しなやかに時代を捉えながら、九谷焼窯元の六代目として自身が今できることを考え続けている上出さんが発する言葉は、今の時代を心豊かに生きるための示唆に満ちていました。

上出惠悟さんのお気に入り

お気に入りの「場所」

近所の山
鴨長明的隠遁生活を、少しだけ暮らしに取り入れる
 
子ども時代、住まいが山の近くにあった上出さん。小さい頃から母親と山菜採りに出かけ、小学生になってからは山で一人遊びをするなど、慣れ親しんできた近所の山がお気に入りの場所。俗世間の煩わしさを憂いて山の中で隠遁生活を送った鎌倉時代の歌人・鴨長明を例に、「僕も世俗と離れて生活したいって思うことがあるんです。実際には隠遁はできないけれど、煮詰まっているときとか、仕事からエスケープしたいときに一人で山に行くのが好きです」と上出さん。

お気に入りの「もの」

EN TEA 紅ほうじ茶
10年来のパートナーが手がけた、毎日飲みたいお茶
 
上出さんの最近のお気に入りは、丸若屋の丸若裕俊さんと佐賀県嬉野市で代々お茶栽培をしてきた松尾俊一さんが、2016年に立ち上げた茶葉ブランド『EN TEA』の紅ほうじ茶。企画・プロデューサーとして活躍する丸若さんは、上出長右衛門窯が2010年に発表したハイメ・アジョン氏とのコラボレーション作品をプロデュースするなど、10年以上に渡って上出さんと様々なプロジェクトを手がけている。「紅茶とほうじ茶の良いところどりをしたようなお茶で、とても美味しくて好きです。日常で飲むお茶が美味しいって、良いことですよね」(上出さん)
 
『紅ほうじ茶』/EN TEA
原材料名:茶葉(国産)
リーフパック:50g入り/1,200円+税 ※直営店限定
ティーバッグ7個入り:内容量3g×7個/1,000円+税
ティーバッグ 30個入り:内容量3g×30個/3,500円+税 ※ONLINE STORE限定
 
直営店
GEN GEN AN by EN TEA
https://en-tea.com/pages/gengenan
東京都渋谷区宇田川町4-8
営業時間:火・水・日 11:00 – 19:00 木・金・土 11:00 - 23:00(定休日 : 月)
 
EN TEA ONLINE STORE
https://en-tea.com/

※急須と湯呑:上出長右衛門窯「TEA」シリーズ 角急須・蓋付湯呑

お気に入りの「本」

捜神記(そうじんき)/干宝
人の心の不変を再認識できる、一生読む本
 
4世紀に中国東晋の干宝が書いた志怪小説集で、470話が収録されている。妖怪、魑魅魍魎、人間の浅はかさを揶揄する話から仏教観、火星人まで出てくる、何でもありの1冊。「最初から順番に読んでいく本ではなくて、タイトルで気になった話を直感で選んで読んでいます。4世紀に書かれた話だけれど、これを読むと、人の心って昔からそんなに変わっていない部分もあるんだなと分かって面白い。一度読んだ話も次に開いた時には忘れちゃうので、毎回、新鮮な気持ちで読めるし、そもそも読破するタイプの本じゃない気がします。そういう意味で一生読んで楽しめる本だと思うし、読むたびに何かしら発見があります」(上出さん)
 
『捜神記』
干宝・著 竹田晃・訳(平凡社ライブラリー)2000年/本体価格:1,600円+税