くらし談義

“場”がつなぐ、本・コト・ヒトとの出会い。<2/5>
内沼晋太郎さん numabooks代表

「本」にまつわることを中心に、多岐に渡るプロジェクトの企画・ディレクションを手掛ける内沼晋太郎さん。リビタが企画・プロデュース・運営するシェアスペース『BUKATSUDO』では、クリエイティブ・ディレクターとして参画。「本と人との出会いを作る」というコンセプトをベースに活動のフィールドを広げる内沼さんに、お仕事のこと、住まいのこと、そして“場づくり”について伺いました。

B&B』ではビールを始めとするドリンクを飲みながら本選びができる。本棚やテーブル、イスも購入可能

出会いを提供する“場づくり”への試み
 
2012年には、博報堂ケトルとの協業で、『B&B』を下北沢に開業なされました。生ビールを飲みながら本を選ぶことができる本屋で、毎晩イベントを催されています。『B&B』を開業するに至った経緯を教えてください。
 
内沼さん B&B』の開業は、博報堂ケトルの嶋浩一郎さんに誘われたのがきっかけでした。雑誌『BRUTUS』(マガジンハウス)の「本屋好き」特集(2001年6/1号)の編集のお仕事を、嶋さんと一緒にお手伝いしている時、たくさんの本屋を見て回る中で、改めて本屋の面白さと難しさを感じました。嶋さんも同じような想いを抱かれていて、「これからの街の本屋」を一緒につくろう、という話になったんです。
 
生ビールを始めとするドリンクの提供のほか、本以外の雑貨や食品も扱うし、什器である家具もすべて売り物として扱っています。
 
本や雑誌に関するトークイベントを毎晩行うことは、当初から決めていました。イベントもその時、その場所でしか体験できないコンテンツ。イベントを来店のきっかけにしてもらいたいという想いからです。「毎晩」という点も重要でした。毎晩やっているのが当たり前になると、お客様から「今夜のB&Bでは、何をやっているのかな?」と思ってもらえるようになりますよね。
 
本に限らず、インターネットで何でも買える時代です。この時代にリアルなショップをやるからには、人がわざわざそこに足を運ぶ意味がある場にしなければいけない。「行ってみたい」と思わせるような期待感や、「また行きたい」と思わせるような品揃えや空間をどうやってつくるか。下北沢という街の知的好奇心の渦となるような場を目指して、日々少しずつ試行錯誤しています。


下北沢駅南口そばのビル2階にある『B&B』。毎晩、さまざまなイベントが行われている
 
―横浜ランドマークタワー ドックヤードガーデン地下1階に誕生した『BUKATSUDO』では、クリエイティブ・ディレクターとして、リビタとともにシェアスペースという“場づくり”に取り組まれました。
 
内沼さん 元商船用の石造りドック跡地で、地下で窓からの光も入らない物件を、「大人のシェアスペース」に再生するプロジェクトでした。リビタからご相談を頂いた時点で、「秘密基地」や「隠れ家」、「部活動」といったキーワードが挙っていました。
 
最初は「なぜ僕にお話がきたのだろう」と不思議に思いましたが、『B&B』の活動を見てくださったのだと思います。『B&B』で行っている“場づくり”に、リビタが考える“場づくり”と共通するものを感じて頂いたのではないでしょうか。僕は、リビタの企画コンセプトを元に、施設の『BUKATSUDO』というネーミングや、クリエイティブチームの人選とディレクション、そして講座やワークショップといったコンテンツや「部活」を生み出す仕組みのディレクションを手掛けさせて頂きました。

―『BUKATSUDO』はどんな場所なのですか?
 
内沼さん 「大人の部活が生まれる、街のシェアスペース」です。学生の頃、放課後に部室に寄って、仲間たちと楽しい時間を過ごした思い出を持っている人は多いと思います。『BUKATSUDO』は、働く人たちに豊かな放課後を提供する場所。仲間との出会いや、趣味の集いを通じて、みんなが新たな活動をしたくなるような、そんなシェアスペースになればと思っています。
 
コーヒースタンドや会員制ワークラウンジ、ホール、キッチン、スタジオ、アトリエといったレンタルスペースのほか、個人やメンバーで利用できる“BUSHITSU”(※2014年10月から貸し出し開始)もあり、使う人次第でさまざまな使い方ができるポテンシャルのある場所です。今後しばらくは、『BUKATSUDO』がどんな場所なのか、どんな風に使うことができる場なのかを知るきっかけにしてもらうべく、さまざまなトークショーや講座、ワークショップを展開していきます。
 
コンテンツがあって、読む人がいて、みんなで感想を言い合って共有する。そんな風に、『BUKATSUDO』で営まれる活動も、みんなでつくる一冊の本のようなものだと考えています。

―内沼さんが『BUKATSUDO』で“部活”をするとしたら、どんな活動をしますか?
 
内沼さん 実際に企画しているのですが、「本屋部」をやる予定です。「これからの本屋講座」という、広い意味での「本屋」をやってみたいと考えている人向けの講座をやるので、その卒業生向け。一緒に本屋を見に行ったり、アイデアを出し合ったり、お互いの進捗を確認し合ったりなど、卒業後も仲間として活動を続けて行くための部活です。この講座と部活を通じて、世の中に面白い本屋が増えていけばいいなと考えています。