くらし談義

誰もが「楽しくたくましく生きる」、そんな世の中をデザインする。<3/5>
東野唯史さん・東野華南子さん ReBuilding Center JAPAN

長野県諏訪市にある『ReBuilding Center JAPAN』。空間デザインユニットとして活動してきた東野唯史さん、華南子さん夫妻が2016年にオープンした建築建材のリサイクルショップです。役目を終えた古材や家具にもう一度光を当てることで、新しい文化の構築を目指すふたり。昨年には中古住宅を購入し、エコハウスへのリノベーションもスタートしています。自分らしく豊かな暮らしとは何なのか、現在進行形で考え続けるおふたりにお話を聞きました。


断熱工事と古材で、環境負荷の低い家に

ーリノベーションでは、具体的にどんな工事を考えていますか?
 
唯史さん:ここは築50年ほどの建物で、元は諏訪湖の船大工さんが住んでいたそうです。増改築を繰り返していたみたいで、一番古い部屋は明治時代からある。解体前に調べてみたら断熱材が全然入っていない「無断熱」だったので、竹内昌義さんと諏訪の工務店さんに相談して壁と天井、基礎に断熱工事を行うことにしました。古いサッシも樹脂サッシトリプルガラスに交換します。
 
デザイン的にも機能的にもリノベーションていろいろな考え方があると思うんですが、今回はとことん断熱性能を高くして、下地材には全部県産材の木材を使って、トータルで環境負荷を減らす家を目指します。古材を使うことは環境にとっていいことだし、県産材なら輸送で発生するCO2も少ない。地域にお金も回る。そういうことを伝えるために、このプロジェクトがあるといいなと思っています。
 
この家、全部で180㎡ぐらいあるんですよ。けれど僕らは基本的に2人暮らしで子どもができても1人だろうから、半分で十分。だから室内に断熱ラインをつくって、部分的に断熱する「ゾーン断熱」という方法にしました。断熱ラインの向こうは外という認識で、暖かいのは内側だけ。180㎡全部を工事すると、お金もかかりますから。そういう方法もあるんだと見せられたらいいなと。
 
エコハウスのリノベーションには、気密性と断熱性を高めるきちんとした施工技術が必要だと当初から考えていました。この家をお願いした工務店はスワテック建設という会社で、地元で信頼されている老舗企業です。奇抜なデザインはやらないけど、仕事は質実剛健。実はリビセンのビルの大家さんなんですよ。僕らがデザインして、施工は信頼できる地元の企業にお願いできれば、すごくバランスがいいんじゃないかなと思っています。
 

「ここからかがんで見ると、景色がすごくきれいに見えるんです」と唯史さん。窓は大きくとりつつ、樹脂サッシトリプルガラスで室内は快適に過ごせるようにするそう。
 
ーどのぐらいの予算でできるのでしょうか?

唯史さん:断熱気密工事、仕上げの変更、家具製作まで含めて1800万円前後で考えています。坪60~70万円ぐらいですね。リビセンがデザインするから、かっこ良くなるのは保証つき!ちなみにこの土地は150坪なんですが、600万円で変えました。家はタダ(笑)。トータル、2400万円ですね。
 
華南子さん:土地と家を買うと思ったら安いと思う。しかもこの景色!めちゃくちゃ気持ちいい。

もっと諏訪を深堀りしていきたい
 
ーもともと諏訪に拠点を構えたのはどうしてですか?
 

唯史さん:4年ほど前に、下諏訪町の「マスヤゲストハウス」のデザインと施工を手がけたことがきっかけです。リビセンをつくることを決めたときも、東京から公共交通機関で来やすい諏訪の立地はぴったりだと思いました。首都圏でマンションをリノベーションする人が直接見に来ることができて、持って帰ることもできる。駅からも徒歩10分ですから。
 
ー本格移住から2年、街に対する気持ちの変化はありますか?
 

華南子さん:オープン当初は9割近くが県外からのお客さんだったんですが、最近は県内のお客さんが増えてうれしいです。レスキューの依頼も、「いつか連絡しようと思っていたんです」という人が連絡をくれたり。
 
唯史さん:今まで全国各地に行って空間をつくる仕事が多かったんですが、これからは諏訪での仕事を増やしていきたいと思っています。この街にもっと、リビセンの価値観やマインドに触れられる場所を増やしたい。今はリビセン1カ所だけだからたまたまあるだけのように見えるけど、リビセンのような場所が一つできればそのエリアはこう変わる、ということを見せたいから。一つの場所がまわりに影響を広げてそこにしかない空気をつくっていく、そんな風に地域にコミットできたらいいなと思っています。



華南子さん:古材を使ったお店が諏訪に増えたら、普通の人も古材の使い方をイメージしやすくなるし、自分でつくることを暮らしに取り入れやすいと思うんですよね。家で古材を使いたいと思っても、今のリビセンの家具や内装だとどうしてもスケールが大きくてイメージしにくいところもあるから。
 
あとは純粋に、自分たちがつくったお店が大好きなんです。おいしかったり、心地いい場所だったり。今までつくったお店が全部諏訪にあったらめちゃめちゃ楽しい街になるのに、と(笑)。やっぱり自分たちが暮らす街が楽しいのがいいなあ、と思います。