豊かに暮らすひと

仕事も住まいもまちも、“自分事”にして暮らしを楽しむ。<2/5>
ナカムラ ケンタさん 「日本仕事百貨」運営・株式会社シゴトヒト代表取締役

“生きるように働く人の求人サイト”「日本仕事百貨」を運営する、株式会社シゴトヒトのナカムラケンタさん。「働くことは、生きること」「暮らすことも、生きること」と、働くことと暮らすことを「生きる」という一本につながった物語だと考える中村さんに、ご自身の暮らしと住まいのこと、そして生きるための“場づくり”への想いを伺いました。

― 自分たちでセルフリノベーションした空間への、オーナーの反応はいかがでしたか?
 
ナカムラさん でき上がった空間を見てもらったら、すごく喜んでくれました。僕らが退去するときも、「次の入居者を探してきた方がいいのかな」と思っていたんですが、すぐに借り手がつきました。僕らは建築学科出身だったので、図面の確認や、リノベーションプランの説明、原状回復のこと、オーナーのメリットとデメリットの説明など、テクニカルな部分まで含めて、オーナーの理解と信頼を得ることができました。素人の人が同じようなことをやるのは難しいと思いますが、不動産屋やオーナーと良好なコミュニケーションがとれて、信頼関係を築くことができたら、可能性は広がると思います。
 
― その後、ご結婚を機に引っ越されたそうですが、現在はどのような家にお住まいなのですか?
 
ナカムラさん 前述のバーがあるエリアから離れたくなくて、今の家は、以前の家のすぐ近所だったので決めました(笑)。40平米くらいのバルコニーがあって、そこでたくさんの野菜を育てて楽しんでいます。住まいのスペック面へのこだわりは大してありませんが、普通の物件には住めない(笑)。今の家は、間取りや内装は普通だけど過不足がなくて、バルコニーが極端に広いという魅力があったから。デザインだったり、コミュニティだったり、何かしら面白い部分があるところに住みたいですね。
 
空間を提供する側の意識の変化にも期待したいですね。どこにでもあるような物件をつくっても、家賃と広さと駅からの距離でしか、僕ら消費者は選択できなくなってしまう。差別化を図るなら、ソフト面に注力すべき時代になってきていると思います。特に最近の消費者はリテラシーが高まっているので、コンセプチュアルなものに対して敬遠する傾向が出てきているように感じています。商業施設や飲食店などで、そのコンセプトやターゲットが透けて見えてしまうと、予め想定されたストーリーの中の演者にされてしまうようで…。これからは、計算され尽くした完成形から逆算されたデザインではなく、人があって、コミュニティがあって、そこからデザインが生まれて…という、“場づくり”が求められるようになるのではないでしょうか。
 
その点、リビタの「シェアプレイス」(※1)は、住む人がコミュニティをつくっていく、文化をつくっていくという考え方でつくられている。そこに住んでいる人たちが主体的になって、やりたいことをやっている結果、その場独自の文化が生まれていく。そうした嘘がない“場づくり”には、自然に人が集まってくると思います。

中村健太さん04

オフィス移転を機に始まった
“もうひとつの肩書きが持てるまち”「リトルトーキョー」プロジェクト

 
― 働く場所はどんな視点で選ばれてきたのですか?これまでのオフィスの遍歴を教えてください。
 
ナカムラさん 独立当初は、南青山にあったシェアオフィスを借りていました。完全フリーアドレスのシェアオフィスで、入居も簡単、使うのも気軽だった。でも、記事を書く仕事柄、こもって作業できる場がほしいと考え始めたときに、小さなポーチがあるリノベーション済みの30平米ほどのオフィスを「東京R不動産」(※2)で見つけたんです。そこでは、大きなテーブルをひとつ置いて、打合せテーブルとデスクを兼ねて使っていました。1年半ほどしてスタッフも増えて手狭になり、そろそろ移転しないと…と考えていたときに、「リトルトーキョー」の舞台である、虎ノ門の物件に出会いました。
 
― ナカムラさんの新たなオフィスは「リトルトーキョー」の中に設けるということでしたが、
  「リトルトーキョー」とは、どのようなプロジェクトなのですか?

 
ナカムラさん 「リトルトーキョー」は、“もうひとつの肩書きが持てるまち”をつくるプロジェクトです。虎ノ門にある元寿司屋だった2階建ての木造建築と、その隣の空き地がその拠点。オフィスの移転を考えているときに、僕が正会員を務めるグリーンズ(※3)のメンバーからこれらの物件を紹介してもらいました。グリーンズとは以前から一緒に“場づくり”をしようと話していたこともあり、この場所をグリーンズと僕らのオフィスとして使うだけではなく、いろんな人と交流できる場にしたいと考えました。グリーンズは、社会のさまざまな問題を解決するためのアイデアをシェアして発信する活動を行っている組織ですが、彼らも僕らも、「働き方」という共通の課題を持っています。そこで、「働き方」に関わる場をつくろうと思い立ちました。